ノーベル賞受賞 元高校教師、スキーで国体出場も…有言実行の大村流人生

 ノーベル医学・生理学賞に輝いた大村智さん(80)は元高校教師という異色の経歴の持ち主。大学時代に国体の出場経験を持つスポーツマンで、研究に必要な精神力をスキーや農作業から学んだ。常に周囲に気を配り、社会貢献への労力も惜しまない。

 昭和10年、自然豊かな山梨県神山村(現韮崎市)で大きな農家の長男として生まれた。父親は村の有力者。食糧には困らなかったが、家の手伝いは大変だった。「早朝に起こされて野良仕事。中学までに一通りの仕事をできるよう厳しくたたき込まれた」

 小学3年のとき終戦を迎える。将来は農家を継ぐと考え「勉強は要らないな」と思っていた。両親も「勉強しなさい」とは言わなかったが、英語の勉強は熱心に勧めた。「後々、非常に必要になったので先見の明には驚いた」と話す。

 祖母は「世のため人のために働きなさい」。中学の先生からは「いずれ村長になるのだから、勉強を頑張らないと」と言われた。

 サッカーや卓球などスポーツが好きで、高校2年のときからスキーに夢中になり、クロスカントリーの選手として国体に2度出場するほど上達した。

 高校3年のとき、父親から「勉強したいなら大学に行ってもよい」と言われ、それならと本格的に勉強を開始。だがスキーはやめず、1日の睡眠時間はたったの3時間。山梨大学芸学部自然科学科に進学した。

 大学1年のときスキーの名手で知られた横山隆策氏に入門。過酷なトレーニングに耐え、どんどん腕を上げた。また勉強しなくなったが、人生で重要なことを学んだ。「体力的にも精神的にも厳しい環境に身を置くこと、人まねをしないことの大切さ」だった。

 横山氏に師事する生徒はハイレベルで、自分よりずっと年少の子供でも上手い。その環境は負けず嫌いの大村さんを刺激した。やり方をまねているだけでは先生を超えられないことも知った。「違うことをしなければいけない」。このとき培った精神が、研究人生の大きな柱になった。

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