【デキる人の健康学】ストレス解消のために甘いものを食べる理由

 ヒトがストレスを受けると、甘い物が欲しくなることはこれまでにもよく知られていた。 ストレスに満ちた現代人の生活から、ソーダやジュースなどの甘い飲料が排除できないのも、情報が氾濫した現代生活からストレスを除去・解消ができないことに根本原因があると指摘する研究者もいる。

 しかし、そのために米国人成人の35%、小児の17%に肥満が蔓延したとなればストレスと甘い物への欲求の関連性を解明することは、重要な社会問題の解決の糸口かも知れない。

 米国カリフォルニア大学デービス校の栄養学教室のマッシュー・トライオン博士らの研究チームは、ヒトがストレスを受けると副腎からコーチゾルというホルモンが分泌され、更に分泌されたコーチゾルが脳の海馬に作用することにより様々な身体反応(ストレス反応)を引き起こすことに注目した。

 研究チームは18歳から40歳までの19人の女性を2群に分け、一方の群には砂糖入り飲料を朝、昼、晩に飲むように指示、他方の群にはアスパルテーム入りの飲料を朝、昼、晩、12日間摂取する様に指示。

 摂取前後でストレスに対するコーチゾルの分泌を検討、脳の海馬の活性化を機能性MRI(磁気共鳴画像装置)で評価した。

 その結果、砂糖入り飲料を飲んだ群の女性はストレスを受けてもコーチゾルの上昇が見られず、MRIで海馬が活性化していることを見出した。

 一方、アスパルテーム入りの飲料を飲んだ女性の群では、ストレスに反応してコーチゾルが分泌され、脳の海馬が抑制され活性化されなかった。

 砂糖を摂取するとインスリンが分泌されるが、このインスリンがコーチゾルの分泌や脳への作用を制御しているとトライオン博士は考察する。

 砂糖にはストレスを相殺する作用があることが分かったが、過度のストレスに対応するために過度の砂糖を摂取した結果、肥満が蔓延したのかも知れない。

白澤卓二

しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

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