医薬分業「院内薬局」規制をめぐる議論 患者の利便性VS「分業」効果

 病院と調剤薬局を同じ建物や敷地に併設できず、患者が病院外で薬を受け取る-。この医薬分業による「院内薬局」規制をめぐる議論が、政府の規制改革会議で始まった。昭和31年に導入され、国も推進を後押しした結果「分業率」は平成25年度に67%にまで伸びた。会議では患者の利便性に欠けるなどとする意見と、「分業」効果が正しく理解されていないとする意見が対立。規制改革会議の翁百合委員と、日本薬剤師会の森昌平副会長にそれぞれの主張の根拠を聞いた。(伊藤弘一郎、道丸摩耶)

■患者目線で「協働」を 規制改革会議委員・翁百合氏

 --病院と薬局が分離されている現状に対する考えは

 「現在の規制は『薬局の医療機関からの独立性の確保』が根拠になっている。だが、公道で病院と薬局を隔てるという物理的な遮断は必要だろうか。高齢化社会を迎え、これから足が不自由な患者や、車いすの患者が増加していく。私が車いすの父に付き添い病院に行ったとき、悪天候時に院外に薬を取りに行くのは大変だった。同じような経験をされている方は多いのではないか。患者の利便性、安全性の視点から物理的規制を緩和し、経営上の独立性を確保する工夫をすべきだ」

 --「物理的規制」が一番の問題点か

 「より本質的な問題は、患者がコストに見合うメリットを受けているのか、という点だ。同じ薬を受け取るにしても『院内処方』よりも、病院付近にある門前薬局で『院外処方』された薬の方が、患者が支払う額が高額になっていることは知られていない。国が医薬分業を推進するため、調剤基本料などを加算した結果、患者や保険の負担は上昇している。都市部では門前薬局が格段に増え、患者が薬局にアクセスしやすくなったかもしれないが、付加価値とコストを比較して薬局を選ぶ体制にはなっていない。改めて患者目線に立った政策的なレビュー(見直し)が必要だ」

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