『天国と地獄』の売春窟「黄金町」が“アートの街”に変貌途上:イザ!

2015.2.4 11:30

『天国と地獄』の売春窟「黄金町」が“アートの街”に変貌途上

 【日本の議論】

 横浜市中区の黄金町地区。ここはかつて「ちょんの間」と呼ばれる違法風俗店がひしめく売春街として知られ、黒澤明監督の映画「天国と地獄」で誘拐犯が覚醒剤を使って殺人事件を起こす“地獄”として描かれた舞台でもある。ずらりと並んだ薄着の女性が道行く男を誘惑する光景は、おしゃれな横浜のイメージとかけ離れたものだったが、それが変わり始めたのが10年ほど前。神奈川県警や周辺住民らの浄化作戦をへて、猥雑(わいざつ)な色街は今や「アートの街」へと変貌を遂げつつある。(小野晋史)

■500人以上の外国人女性が声をかけ…

 摘発前の黄金町地区では、1つの建物の入り口を1間(けん)(約1・8メートル)ほどの間口で複数に区切り、それぞれが1つのちょんの間として営業していた。表向きは小料理店やスナックといった飲食店を装い、ピンク色の明かりで照らされた店内の1階はカウンター。階段を上がると2畳ほどの狭い部屋に布団が敷いてあったという。

 男性客は気に入った女性を選んで1万円ほどの代金を支払い、2階で“本来の目的”を済ませると店を出ていく仕組みで、20~30分程度の“ほんのちょっとの時間”で終わることから、ちょんの間と呼ばれた。

 地元で長年にわたり街の浄化作戦に取り組んできた「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」副会長の谷口安利さん(74)によると、こうした店は京急電鉄黄金町-日ノ出町駅間の高架下両脇に最盛期で約260店が軒を連ね、24時間営業で客を集めていた。

 「オニイサン」「イラッシャイ」

 それぞれの店の前には、薄着姿の女性が立ち、片言の日本語で男性客を誘惑した。500人以上はいたとされる女性たちの多くは中国や韓国、東南アジアやロシアなど、さまざまな国からやって来た外国人。女性同士が話すさまざまな外国語が飛び交い、店内から漏れたピンク色の明かりが路上を照らし出す。信心深いタイの女性がたいたとみられる線香の香りも漂い、妖しげな雰囲気が満ちあふれていたという。