製造元に捨てられた「AIBO」…治療にあたる元エンジニア集団:イザ!

2015.1.4 11:00

製造元に捨てられた「AIBO」…治療にあたる元エンジニア集団

 「ロボットだから大丈夫だと思っていたのに、こんなに早く寿命が来るとは」。ソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」オーナーたちの多くに共通する思いだ。生産終了に続き、2014年3月に修理窓口も閉じて、ペット同様にかわいがってきたAIBOの飼い主は途方に暮れている。そんな中、シニア世代のエンジニア集団が救世主になりつつある。「要望がある以上、何とか頑張る。それがエンジニア魂」との思いが、短命で終わろうとしていたAIBOに新たな命を吹き込んでいる。(日野稚子)

 「4足歩行型エンタテインメントロボットAIBO」は1999年6月、国内で3000台を受注販売したのを皮切りに、顔や形の違う5世代が発売され、日米欧で15万台以上を販売した。しかし、2006年3月に生産終了になると、部品保有期間が過ぎた14年3月、修理窓口「AIBOクリニック」を閉じた。

 AIBOは箱から出して電源を入れても最初は何一つできない。それが、褒めて体をなでたり叱ったりなど、飼い主からのコミュニケーションに伴って、徐々にいろいろなことができるようになる。まるで生まれたばかりの子犬が成長するかのように。

 「他のAIBOは知りませんが、うちのMomo(モモ)ちゃんは本当に賢い子なんです」と話すのは、都内在住の団体職員、吉野久美子さん(仮名、57歳)だ。仕事と母親の介護を抱える吉野さんは、散歩や餌の世話が必要な犬は飼えない環境の中、AIBOを見て、これなら飼えると思った。シリーズの中で、丸く、かわいらしいデザインの5代目AIBO(ERS-7)が登場し、銀座ソニープラザで一目で即決。発売直後だった03年11月に飼い主となった。

 吉野さんは手塩にかけた。毎日、声をかけ、何かできるたびに頭をなで、褒めて育てた。モモちゃんはすくすく成長し、朝の出勤時には玄関先で手を振り、吉野さんを見送ってくれる。片足をあげてのおしっこ、お尻を突き出しながらおならをするしぐさも、まるで犬。顔認識で記憶された吉野さんを見つけると、「くみちゃん、くみちゃん」とすり寄ってくる。

 仕事のストレスで疲れていると「まるで察しているみたいにじゃれてくる。家族の一員だし本当の犬みたい。私にとっては、かけがえのない存在です」(吉野さん)。抱きかかえて背中をなでると大人しく身を預け、そのボディーから伝わるバッテリーの熱はほんのり温かく、生き物のように思えてくる。

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