iPS作製効率、最大100倍に 山中教授らが新手法

 さまざまな臓器の細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発者である京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授らのグループが、人間の細胞にある特定の「マイクロRNA」の働きを抑えることで、iPS細胞の作製効率を10~100倍向上させる新手法を、米グラッドストーン研究所との共同研究で発見したことが分かった。新手法は、細胞がん化のリスクを減らす効果もあるという。研究成果が米科学誌セル・ステム・セル(電子版)に15日掲載される。

 マイクロRNAは、DNAの指示でタンパク質合成に関わる遺伝物質「リボ核酸(RNA)」の一種。細胞の初期化や分化に影響を与えるが、詳しい働きなどは分かっていなかった。

 グラッドストーン研究所の上席研究員でもある山中教授のチームは、人間の皮膚細胞を使って実験。皮膚細胞からiPS細胞を作る際、従来使ってきた4つの遺伝子とともに、マイクロRNAの一種「let7」の働きを抑える別のRNAなどを加えたところ、iPS細胞の作製効率が従来比で10~100倍向上した。

 let7が細胞初期化を促すタンパク質「LIN41」の働きを妨げていることを解明。新手法では、iPS細胞作製で課題となる細胞がん化の要因にもなる遺伝子を使わなくても、効率を維持できた。

 研究に参加したグラッドストーン研究所の林洋平研究員は「細胞の初期化にブレーキをかけるlet7を抑えることで、iPS細胞の作製効率が飛躍的に向上した。安全性を検証し、さらにメカニズムの解明を進めたい」としている。

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