ビニールシートに消毒液…コロナ対策からの火災に注意

 飛沫(ひまつ)防止用のビニールシート、店内などでのアルコール消毒…。新型コロナウイルスの感染予防対策として急速に需要が高まったグッズが持つ火災リスクについて、消防機関が警鐘を鳴らしている。大阪市消防局は火災が想定される状況の再現動画をインターネット上に掲載。緊急事態宣言発令中(4月7日~5月21日)の大阪では、外出自粛による「巣ごもり生活」に関連した火災も起こっており、注意を呼び掛けている。(矢田幸己)

 《厨房(ちゅうぼう)で炒め物をつくる料理人役の男性。手際よくフライパンを振ると、ガスコンロの火が一気に燃え立った》

 大阪市消防局が制作し、動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされた啓発動画のワンシーンだ。火は厨房とカウンターを隔てるビニールシートに燃え移りそうな勢い。直後に「火気を使用する場所にはビニールシートを設置しない」とのテロップが現れた。

 約2分10秒の動画では、ほかにもアルコールスプレーやアルコール消毒液が引火性であるため、火気の近くで使用しないことなどを注意すべきポイントとして紹介している。

 消防局が動画を作成した背景には、感染予防に気を取られるあまり、火災に対する警戒がおろそかになることへの危機感がある。

 ■ビニールシートに引火

 大阪府内では感染予防のビニールシートをめぐり、大きな火災につながりかねない事案も発生している。

 大阪府枚方市と寝屋川市を管轄する枚方寝屋川消防組合によると、4月25日、府内の商業施設で高齢の男性客が、売り場のライターを試しにつけたところ、レジカウンターに設置されたビニールシートに燃え移る火災が発生した。このときは燃え広がりこそなく、けが人はなかったが、シートから周辺に延焼すれば、大火災につながる可能性もあった。

 ただ、感染拡大の「第2波」に備えるため、当面は商業施設を中心にビニールシートによる感染防止対策は有効な手段となっているほか、アルコール消毒液も至るところに置かれている。

 ホームセンターを展開するコーナン商事(堺市)によると、ビニールシートなどとして代用できる透明のテーブルクロスの直近2週間(5月25日~6月7日)の売り上げは、昨年同時期と比べて約3倍増加。感染防止策としての需要が高まっているとみられる。

 大阪市消防局の柚木崎(ゆきざき)浩美・予防課調査鑑識担当副課長は「感染防止用としてビニールシートは気軽に使える半面、非常に燃えやすい。火気の近くに設置しないことを徹底してほしい」とする。

 ■「巣ごもり」の火災リスクも

 外出自粛の影響で急浮上した出火原因もある。

 大阪市消防局によると、緊急事態宣言の発令中、市内で発生した火災の出火原因別で、急に多くなったのが「天ぷら油」による火災だという。ここ2年間は同期間で4、5件の発生件数で推移していたが、今年は14件と突出し、出火原因別の上位5位のうち2位となった。

 8割近くが男性による調理中だったといい、同消防局の担当者は「自粛中に自宅で料理をする人が増えた結果では」と推測する。

 一方で宣言発令中は全焼など市内で大きな火災に至ったケースは例年より減少したといい、柚木崎副課長は「在宅で火災が起きても早期に気付くことができたからではないか」と分析。「今後も感染予防に加え、火災予防への意識もしっかり持って警戒してもらいたい」としている。

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