虐待死の再発防止へ 老人ホーム職員の管理態勢に一石

 有料老人ホーム「サニーライフ北品川」で起きた入居者の虐待死事件は、大手介護事業者の職員管理態勢に一石を投じた。業界内では、高齢化社会で生じる介護人材の不足が虐待を誘発しているとの見方が根強い。介護トラブルの専門家は「施設全体で虐待を防ぐ必要がある」と警鐘を鳴らす。

 同施設を運営する「川島コーポレーション」(本社・千葉県君津市)は「現場の職員がストレスを抱えこまない状況を作ることが、入居者への虐待防止につながる」として、事件後、職員への面談回数を増やし、ストレスチェックを行うなどの再発防止策を実施した。

 傷害致死罪で起訴された根本智紀被告(28)は警視庁の捜査段階で「暴行を加えたことはない」などと否認していたが、職員による虐待行為には介護業界の人手不足や人事評価の不備が関連していると指摘する声もある。

 介護トラブルに詳しい外岡潤弁護士は「施設が大規模化するほど職員も効率一辺倒になり、虐待の芽を見過ごしやすくなる。時間をかけて丁寧に入居者と接する職員を評価する仕組みができていない」と疑問を呈する。

 介護職員の適切な評価に向けた取り組みを進める事業者もある。神奈川県内の社会福祉法人が運営する施設では、職員間で互いの評価を記入し合う「気づきシート」を導入。「入居者に声かけをしながら付き添った」「入居者に対する言葉遣いが乱暴だった」など、日常的な職員の行動をチェックし合うことで、離職率も低下したという。

 外岡弁護士は「職員同士がコミュニケーションを図ることで、施設全体としても『何が虐待になるのか』という認識が共有できる」と指摘する。

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