「悪魔払い」死亡女児の母親、5年の沈黙破り証言 被告との接点は宗教施設 群馬

 26日に行われた証人尋問では、犯行現場に居合わせた麻雛弥ちゃんの母親が事件に至るまでの経緯を克明に明かした。事件発生から5年後に沈黙を破った母親の証言は北爪被告の逮捕の決め手ともなり、検察側が法廷で犯行を立証する上で最も重要な証拠となる。

 母親は北爪被告を「先生」と呼び、淡々と語り始めた。事件が起きた平成23年5月2日、北爪被告に霊能力があると信じ切っていた母親は、北爪被告の自宅アパート1階の部屋で「悪いものを取り除く」という理由で、自ら麻雛弥ちゃんに暴行した。

 その後、北爪被告が「悪魔払い」に使用していた2階の部屋へ麻雛弥ちゃんを連れて移動。北爪被告は「この子の中の魔物が笑っている」などと言って、麻雛弥ちゃんを両脇から抱え、頭上から床に投げつけた。

 「ゴン」。床に頭を打つ鈍い音がした。歩けなくなった麻雛弥ちゃんは前橋市内の病院に搬送され、4日後に死亡した。

 母親が北爪被告と出会ったのは18年ごろ。北爪被告の次女とアルバイト先が同じだったのがきっかけだった。次女に誘われ、通い出した市内の宗教施設の代表者の世話をしていたのが北爪被告だ。

 ある日、北爪被告は「私に(代表者から)力が移ったから」と話し、母親は北爪被告の「信者」となった。北爪被告は霊能力があると自称して先祖供養などを行い、金銭を得ていた。

 母親はこのころに麻雛弥ちゃんを妊娠。流産の可能性を医師に指摘されていたが、無事に出産した。北爪被告が「パワー」を送ってくれたからだと感謝し、信仰心は増した。

 母親によると、異変が起きたのは出産から1カ月後。母親が自身の指示を守らなかったことに北爪被告は激怒した。「神の子」とかわいがっていた麻雛弥ちゃんを「悪魔の子」と呼ぶようになった。暴行は、麻雛弥ちゃんの生後5~6カ月から始まり、次第にエスカレートしていった。

 母親は、麻雛弥ちゃんへの暴行に心を痛めながらも北爪被告に逆らえず、自らも暴行を加えていた。   「今まで自分が被害者だと思ったことはない。先生に対しては刑罰というより、本当のことを話してほしい」。

 娘を失った母親は、無念そうに語った。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ