千島海溝は巨大地震の常襲地帯 広範囲で大津波の恐れ

 新想定が公表された千島海溝は、南海トラフと並ぶ巨大地震の常襲地帯だ。十勝沖ではマグニチュード(M)8以上が戦後だけで昭和27年と平成15年の2回発生。根室沖でもM7・4が昭和48年に起き、30年以内の発生確率は非常に高い。

 新想定ではM9級の巨大地震が発生する確率を初めて算出。既に発生サイクルの“満期”を迎えているとして注意を促した。背景には、想定外の巨大地震で防災対応の隙を突かれた東日本大震災の教訓がある。

 内閣府は今回の巨大地震による津波の高さや到達時間などの想定を年度内にもまとめる見通しだ。大津波は広範囲に及ぶとみられ、北海道だけでなく東北地方などでも新たな防災対応を迫られそうだ。

 17世紀に発生した巨大地震による津波の痕跡は、高さ18メートルの場所でも見つかった。産業技術総合研究所の宍倉正展・海溝型地震履歴研究グループ長は「地震で揺れている最中に津波が到達する可能性もある」と警鐘を鳴らす。

 政府は南海トラフ巨大地震の想定で、過去に発生したケースがなくても科学的に起きうる最大規模を想定する考えを示した。これに対し今回は過去の地震に基づいて評価しており、判断基準が異なる。

 南海トラフと同様の手法を採用した場合、隣接する日本海溝を含む3千キロという長大な断層が一度に動く非現実的な想定になってしまう。経験則に基づく今回の想定は「防災上必要な最大規模」を示した現実路線といえる。(小野晋史)

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