75歳夫「あほうなおやじでごめん」遺書、葬儀代残し74歳妻を川に沈めた苦悩 止まぬ「老老介護」の悲劇

 「妻が苦しんでいるのを見ていられなかった」。昨年12月、大津地裁。介護してきた妻=当時(74)=の求めに応じて心中を図り、嘱託殺人罪に問われた大津市の男性(75)は、法廷で涙を流しながら胸の内を語った。約8年、自宅での介護を1人で担ってきた男性。明らかになったのは誰にも相談せず、1人苦悩する「老老介護」の現場だった。(杉森尚貴)

「妻を殺してしまった」

 昨年10月4日の昼下がり。大津市南部の瀬田川沿いの県道で、路肩にうずくまっている男性に通行人が気付いた。

 「どうしましたか」

 「お母さん(妻)を殺してしまった。警察を呼んでほしい」。男性は錯乱状態だったという。

 駆けつけた大津署員が、川に浮かぶ女性を発見。すでに心肺停止状態で、まもなく死亡が確認された。

 夫婦は体にコンクリートブロックをくくりつけて入水。いったんは心中をやめようとしたが、妻が決行を求め、再び妻を沈めたという。

 判決などによると、妻は精神疾患に起因する頭痛や鬱症状に悩まされ、入退院を繰り返していた。男性は「妻が前途を悲観し、心中しようと話し合った。自分は死にきれなかった」と話した。

幸せに影…妻が「てんかん性障害」

 2人は昭和43年に結婚、1男1女を授かり、家庭生活は円満だった。

 そんな生活に、妻の病気が影を落とし始める。結婚十数年後ぐらいから、妻には頭痛などの症状が現れ始めた。次第に悪化し、7~8年前ぐらいからは手足のしびれや猛烈な頭痛が襲う。鬱症状も発症した。

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