店長現金やり取り 中古車業界、背景に保険契約めぐる激しい競争

 ビッグモーター社の店長間で行われていた現金授受の背景には、車自体よりも収益性の高い保険契約をめぐる業界内の「激しいパイの奪い合い」(損保関係者)があるとみられる。労働行政関係者らは「ここまで大規模な『罰金』の仕組みは聞いたことがない」と驚きの声を上げる。

 ■「以前は青天井」

 「現在は上限10万円だが、以前は青天井だったと聞いている。こんなことをしなくても業績を伸ばせるはずだが」。あるビッグモーター社員はこう嘆く。

 販売店に設定された保険契約の獲得目標額は1人当たり前年同月比25万円増。一般的な自動車保険で単純計算すると、従業員5人の販売店では毎月約30件の新規契約が必要だという。通常は1年契約のため、前年の契約者が更新しなければ、その分も増やさなければならない。

 損保関係者は「開店数年後の古い販売店は、よほど工夫しないと毎年増やし続けるのは無理がある。保険獲得のためにここまでやるとは…」と絶句する。

 ■車値引いても

 過当競争の中古車業界。市場は若者の車離れや車の性能向上の影響で年々、縮小し続けている。日本自動車販売協会連合会のまとめによると、昨年の全国の中古車販売台数は約373万台で、10年前の約7割にまで落ち込んだ。

 そうした中で収益を上げるには、保険代理業務で稼ぐ手数料が重要になる。この損保関係者は「法令違反だが、『保険を切り替えてくれれば車の価格を値引きしますよ』と持ちかけてでも、保険を売り込む業者も実在する」と内情を明かす。

 任意保険は加入率が高く、他社からの切り替えが前提で、顧客の奪い合いに勝つために報酬などのインセンティブ(動機付け)を社内に設定する業者も多いという。

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