撤去命令受けた「脱原発テント」が美術館に?テントに絵を描き「芸術を冒涜させない」

 東京・霞が関の経済産業省前の敷地(国有地)を不法占拠している「脱原発テント」の中に12月上旬、“美術館”が出現した。東京高裁が10月、「テント撤去」の1審判決を支持し、脱原発団体側の控訴を棄却しているにもかかわらず、新たな抵抗を示した形だ。テントはいつ撤去されてもおかしくない。このため、テント側は「美術を冒涜(ぼうとく)、破壊するのか」といった根拠を持って、強制撤去の阻止に向かう戦術を生み出したようだ。(原子力取材班)

 ■「原発退散原発滅却」のお札?

 テントを管理していた人の許可を得て、“美術館”と称するテントの一角に入ると、まず目の前に大きな黒い袋(フレコンバッグ)が飛び込んだ。

 この袋は、東京電力福島第1原発事故の被害にあった福島県のあちこちで積み上がっている袋と同型で、除染された土や廃棄物を詰めるためにある。

 テントの中では、袋にしめ縄などを付けて、「ゆるすまじ原発を」「原発退散原発滅却」などとお札のようなものとお酒も置き、ご神体のようにまつっていた。

 福島の現状を取材し続け、その苦悩の一端を知る取材班は、このようなものを芸術の題材にする神経がどうにも理解できなかった。

 テントの側面には、テントの布に直接描かれた絵画がみられる。ナマズの上に都市のようなものが描かれた絵画は、地震の怖さを訴えているのか。

 天使のようなものが飛び、裸の男女が「no nukes(原発反対)」と書かれた樹木に向かっている絵画もある。これはさしずめ、アダムとイブが禁断の果実を食べた物語をモチーフにしているのだろうか。

 この展示が始まったのは、12月5日。その後、土曜日を使って映画の観賞や、版画のワークショップを来年8月まで予定している。

 参加しているアーティストは現在のところ、6人。主催者は「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」とあったが、実体ははっきりしない。

 テントにいた人に展示の趣旨を聞くと、「ここは美術館だ。ここを撤去し壊すということは、美術を壊すのと同じことだ」と答えた。つまり、テントの撤去に反対するために、美術館のようなものをこしらえたのだろう。

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