和解直後も不正継続…懲りない化血研の偽装体質 「安定供給」考え厳罰下せぬ厚労省のジレンマも

 ■「最大の努力」…誓いは反故に

 ヘパリンの添加そのものは、国に申請さえすれば一定期間後に承認されていたとされる。にも関わらず、なぜそこまで急いだのか。背景には薬害エイズ問題の社会問題化がある。

 血液製剤は主に海外の売血を原料とした製品が使われてきた。だが、80年代に輸入血液を使用して製造された血液製剤のHIVウイルス汚染が相次ぎ判明し、平成元年には化血研を含む5製薬会社が提訴された。

 こうした状況下で国は2年、原則、国内の献血を用いた血液製剤にシフトする方針を決定。この時期と、化血研がヘパリン添加を始めた時期とはほぼ重なっており「可能な限り新製品を早く承認されることが、シェア争いで有利に働くとのもくろみがあったのではないか」(厚労省関係者)とみられている。

 実際、平成20年までは化血研の中で、血液製剤の売り上げが占める割合は5割を超え、人事上も血液製剤製造部門の出身者が優遇され続けた。

 さらに、化血研が国による定期調査の強化を見据え、隠蔽工作を始めたのは7年ごろ。同社では調査に備え、虚偽記録をゴシック体、実際の記録を明朝体と使い分ける▽記録に紫外線を当てて変色させ、作成時期を古く見せかける▽不正な製造記録部分のページ数を「2・5」などと小数で記載し、国の調査ではページを抜く-といった周到な準備を行っていた。

 8年に行われた常勤理事会では、血液製剤の製造部門担当者が、虚偽の製造記録の提示を示唆したのに対し、当時の理事長や、12月2日付で辞任した宮本誠二理事長ら幹部から反対意見は出なかったという。この会議で事実上、不正の「お墨付き」を得ていた。

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