和解直後も不正継続…懲りない化血研の偽装体質 「安定供給」考え厳罰下せぬ厚労省のジレンマも

 舌の根も乾かぬうちに、「誓い」はないがしろにされていた。血液製剤やワクチンの国内メーカー「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が国の承認と異なる方法で血液製剤などを製造していた問題。同社は薬害HIV訴訟の被告でありながら不正に手を染め、訴訟の和解と同時期に隠蔽工作を本格化させていた。一方、監督する立場の厚生労働省は、安定供給の観点から厳罰処分も打ち出しにくいというジレンマに陥っている。

 ■「問題ない」…希望的観測

 第三者委員会の調査報告書などによると、化血研による血液製剤の不正製造が始まったのは昭和49年ごろ。ある血液製剤の製造過程でタンパク質の浮遊物が生じることを避けるため、加温工程の一部を承認と異なる方法で行ったのが最初とされる。

 さらに複数の血液製剤が「非承認」の状態になったのは平成元~3年、開発中の血液製剤の臨床試験で、止血効果がなくなる問題が発生したことが発端だった。この際、血液を固まりにくくする「ヘパリン」を添加すると問題が解消できることが判明。本来、ヘパリン添加を含めた工程で承認申請をすべきだったが、臨床試験のやり直しで販売が遅れる可能性があった。このため化血研は、ヘパリン添加を隠したまま、承認申請を行ったという。

 このヘパリン添加は、他の血液製剤にも関わる製造過程の「上流」で行われていたため、結果として計11製品での未承認の工法につながった。ほかの工程も含め、承認と異なるものは計12製品、31工程に上った。

 ヘパリン添加に関しては当時、化血研内で積極的に安全性が議論されたことはなかった。ほかの海外メーカーで添加例があり「問題ないであろうという希望的観測」(三者委報告書)が端緒となったという。

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