「健康のためなら死んでもよい」と同じ? 摩訶不思議な集団的自衛権反対論

 【野口裕之の軍事情勢】

 死を迎える直前まで六法全書を離さなかった法律家は立派だが、敵ミサイルがあと数分で首相官邸や国会議事堂に到達する逼迫した事態で、対処の法的根拠を確認する政治家がいたとしたら狂っている。ところが、ブラック・コメディーを地で行く政治家が実在するのだから驚かされる。東日本大震災(2011年3月11日)における東京電力福島原子力発電所事故当時の首相・菅直人氏(68)を頂点とする民主党の政治家は、加速度的に危険性を増している状況をよそに、本気で六法をめくった。各種調査報告書や、当時の経済産業相・海江田万里氏(66)の証言などを総合すると、危機対処を迅速・強化すべく、海江田氏は原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言の発令を求めたが、菅氏や官房長官、官房副長官、首相補佐官、秘書官らが六法や法文のコピーと首っ引きで、首相権限など関係法令の確認作業に追われたという。発令まで貴重な1時間20分が無駄に流れた。

 ■法匪が論じる自衛権

 国会での安全保障関連法案に関する審議・質疑に合点がいった。原発事故勃発直後の最も重大な初動時機に「関係法令勉強会」を開いた民主党国会議員と、衆議院平和安全法制特別委員会で質問に立つ顔ぶれは一部重複する。共通項は法匪。国家・国民の生存に向け憲法・法律を活用するのではなく、国家・国民の生存権を侵害しようとも憲法・法律を狭小解釈したがる悪癖の持ち主だ。野党議員は国会で憲法学者とタッグを組み、安倍晋三政権が進める集団的自衛権の限定的行使を可能する法案を葬ろうと謀るが「健康(憲法・法律)のためには死んでもよい」と考えているとしか思えない。健康(憲法・法律)は国家・国民の寿命(生存権)を向上させる手段・過程に過ぎぬ。政治家は憲法原理主義学者に惑わされず、何が最終目的なのか自らの頭で考えよ。

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