裁判員裁判 「衝撃証拠」で急性ストレス障害…配慮か、直視か:イザ!

2014.10.24 08:00

裁判員裁判 「衝撃証拠」で急性ストレス障害…配慮か、直視か

 裁判で殺害現場の写真を見るなどしたために急性ストレス障害になったとして、元裁判員の女性が国に損害賠償を求めた訴訟は、1審で原告側敗訴となったものの、施行から5年を迎えた裁判員制度に課題を突きつけた。女性は、裁判員制度は憲法が禁じる「苦役」に当たると主張。各地裁では遺体写真などの「衝撃証拠」を白黒やイラストに加工する“配慮”も見られるが、「人を裁く以上、証拠を直視すべきだ」との声もあり、意見は割れている。

■衝撃証拠、頭から離れず…包丁握れなくなりはさみで料理

 「裁判員で病気になっても我慢しろということか。市民が犠牲になっても仕方がないという判決だ」

 9月30日。福島地裁の判決後に会見した元裁判員の女性(64)は、「請求棄却」という結論への疑問を口にした。

 女性の元に、福島地裁郡山支部から呼出状が届いたのは平成24年12月。《当裁判所で審理を行う刑事事件について、裁判員(及び補充裁判員)を選任する手続を行います》と書かれていたが、特に目に留まったのは、その下に書かれた「注意事項」だった。

 《正当な理由がなくこの呼出しに応じないときは、10万円以下の過料に処せられることがあります》

 「自分に人を裁くことができるのか」と考えたという女性。今年5月の取材では「当時の勤務先に10万円を出してもらえないか相談した」と辞退を検討したことを明かし、「今考えると、10万円払った方が良かったんじゃないかと思う」と振り返った。

 裁判所で強盗殺人事件であることを知らされ、「ある程度のものは覚悟していた」というが、公判で示された証拠は想像を超えていた。

 血の海に横たわる被害者、遺体の刺し傷…。被害者の頭部に見立てた発泡スチロールには、刃物が刺さっていた。

 ハンカチで口元を押さえながら、画面に映し出されるままに、次々とカラー写真を目にした女性。消防への通報に残された「助けて」という被害者のうめき声とともに、頭から離れなくなったという。

 昼休みには、弁当の大半を残し、トイレで吐いた。「自分が辞退したら周りに迷惑をかけてしまう」との思いから裁判所に通い続けたが、体調の異変が続いた。

 「評議室の卓上に凶器の包丁があり、顔を上げると目に入る。これで(被害者を)殺したかと思うときつかった…」と話していた女性は、審理が終わった後も包丁を握ることができず、調理ばさみで家事をこなした。

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