【抄録 吉田調書(1)】「菅氏わめく間に建屋爆発」伝わらなかった第1近辺への退避

「第2に行った方がはるかに正しい」

 東京電力福島第1原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏は政府の事故調査・検証委員会(政府事故調)に対し「全面撤退」を否定するなど現場の状況を詳細に説明した。聴取内容を10回に分けて詳報する。1回目は吉田氏の菅直人元首相に対する評価を中心にまとめた。質問者は事故調の調査委員。

 〈菅首相は事故発生翌日の平成23年3月12日午前7時11分に福島第1原発を視察に訪れた〉

 --いつごろ首相が来られるという話になったのか

 吉田氏「時間の記憶がほとんどないんです。(午前)6時前後とかには来るよ、という情報が入ってきたんだろうなという」

 --何のために来ると

 吉田氏「知りません」

 --首相は所長に対し何を話したのか

 吉田氏「かなり厳しい口調で、どういう状況だということを聞かれたので制御が効かない状況ですと。津波で電源が全部水没して効かないですという話をしたら、何でそんなことで原子炉がこんなことになるんだということを班目(まだらめ)(春樹原子力安全委員長)先生に質問したりとか」

 --いかに現場が厳しい状況か説明したのか

 吉田氏「十分説明できたとは思っていません。自由発言できる雰囲気じゃないですから」

 --現場に近い状況が壁一枚向こうにあるが、首相は激励に行かれてないか

 吉田氏「はい」

 --中を(視察・激励しに行かなかったのか)

 吉田氏「全く、こう来て、座って帰られましたから」

 〈菅氏は3月15日午前5時半ごろ東電本店の非常災害対策室に入った〉

 --何をしに来られていたんですか

 吉田氏「何か知らないですけれどもえらい怒ってらしたということです」

 〈菅氏は「撤退したら東電は百パーセント潰れる」と発言〉

 吉田氏「ほとんどわからないですけども、気分悪かったことだけ覚えていますから、そういうモードでしゃべっていらしたんでしょう。そのうちに、こんな大人数で話をするために来たんじゃない、場所変えろとか何か喚(わめ)いていらっしゃるうちに、この事象になってしまった」

 〈事象とは2号機の格納容器の圧力抑制室の圧力計が下がり、4号機の原子炉建屋が爆発したこと〉

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