「チャットに夢中だった」「病気の子にピザ」…虐待より難しい育児放棄

ネグレクトを防ぐには

 「自らを守るすべのない男児は症状に苦しみながら短い生涯を終えた。その最期はあまりにも悲惨。被告への非難は避けられない」

 判決で大津地裁がそう断じたように、希旺ちゃんは唯一頼れる存在の母親に一切、苦しみを感じ取ってもらえなかった。深い絶望の中で命を落とした希旺ちゃん。再びあの問いかけが頭を巡る。「どうすれば救えたか」。子供のSOSに第三者が気付いてやれはしなかったか…。判決公判の終了後、記者会見に応じた裁判員の一人はこう言った。

 「周囲がおせっかいなくらいに助けてあげられたら、社会がもう少し助けてあげられていれば、こういう結果にはならなかったのではないか」

 「ネグレクト」(育児放棄)は、身体的な虐待よりも発見や支援が難しいとされる。行政はプライバシーの壁に阻まれ、強制力をもって介入することは困難だという。

 大津市子ども家庭相談室では、希旺ちゃんが死亡する2年前から高橋被告のネグレクト傾向に気づき、支援を続けてきた。希旺ちゃんの死亡直前も連日、保育士が自宅を訪れ、高橋被告に注意を促していた。それでも事件は防げなかった。

 同室は事件以降、職員と相談員を増やし、母親向けに赤ちゃんの泣き声や行動などからメッセージを読み取る研修を重ねている。

 今も全国で相次ぐ児童虐待事件。「少しのおせっかい」を今後、行政がどう形にしていくのかなど、取材すべきことがまだまだ残されている。判決が出てもなお、この事件が突きつける課題は多い。

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