世界中が称賛した美談 誇るべき日本人の「合力」:イザ!

2013.9.1 10:36

世界中が称賛した美談 誇るべき日本人の「合力」

 【日曜に書く】論説委員・清湖口敏

 7月22日朝のJR南浦和駅(さいたま市)。停車中の電車から降りようとした女性が足を踏み外し、電車とホームの間に挟まれた。これを見た車内とホームの客約40人が一斉に力を合わせて車両を押し、隙間をつくって女性を引き上げた。女性に目立ったけがはなかった。

 ◆世界で称賛の声

 たまたま現場に居合わせた読売新聞記者の撮った写真がニュースとともに海外に伝わり、各国で日本への称賛の声が広がったと、26日付同新聞が報じている。「イタリア人だったら眺めるだけだろう」「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」「おそらく、日本だけで起こりうること」「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」…。

 他人の難儀も見て見ぬふりをする風潮が強いといわれる昨今だけに、日本人の道徳心をたたえる声にはうれしくなった。そこでふと「合力」という言葉を思い出し、この「合力」の精神こそが日本人を、世界でも傑出した道徳的国民にしているのではないかと思ったのである。

 「力を合わせる」意の漢字熟語といえば誰もがまず「協力」を思い浮かべるだろうが、わが国には「協力」よりもずっと古く「合力」という言葉が存在した。合力は今では物理の授業で「2つ以上の力を合成した力」などと習う程度で、小型の辞書もそれくらいの意味しか載せていないが、古典の時代にはコウリョクと読ませ、「力を添えて助ける」意を有した。

 室町時代初期の『義経記(ぎけいき)』にも「三日がうちに浮き橋を組んで、江戸太郎に合力す」と出てくる。源頼朝が隅田川を渡ろうと江戸太郎(重長)に浮き橋を組ませた折、葛西三郎こと葛西清重が合力した、つまり助勢したというのである。

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