第30回世界文化賞 受賞者の素顔・音楽部門 リッカルド・ムーティ氏

 世界の音楽界をリードする指揮者の一人。レパートリーは古典から現代音楽まで多岐に渡り、中でもイタリアの歌劇王、ヴェルディ作品への理解力には定評がある。作曲家が表現する世界観を最大限に引き出すのが特徴だ。「作品には敬意を払っているので手を加えることなどできない。傑作に口出しをするなんて許されることではありません」

 イタリアの港町、ナポリで生まれ、アドリア海に面したモルフェッタで幼少期を過ごした。自身を「温和な環境で生まれ育った地中海の人間」と称する。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲と指揮を学び、1967年に「グィード・カンテッリ国際指揮者コンクール」(イタリア)で優勝。英国・フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者や米国・フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を歴任して、イタリアの歌劇場「ミラノ・スカラ座」でも1986年から2005年まで音楽監督を務めた。

 一方、対立や悲劇の痕跡が残る場所でコンサートを開催する「友情の道プロジェクト」を1997年に創設。その活動に尽力しながら、2010年からシカゴ交響楽団の音楽監督としても活躍。同楽団とともに米音楽界最高峰のグラミー賞に輝いた。世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」には今年で5回目の登場を果たした。

 日本でも、イタリアとの文化交流促進に対する貢献が高く評価され、2016年に旭日重光章を受章。来年春からは日本で若い音楽家のための「イタリア・オペラ・アカデミー」を始める。「自分の課題に真剣に取り組めば、より良い結果を生むと若者たちに伝えたい」。努力を惜しまない姿勢を次世代に継承しようとしている。 

(Riccardo Muti 1941年7月28日 イタリア・ナポリ生まれ)

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