こわもてだけじゃない 俳優、國村隼は世界が舞台 こんどはベルギー映画に出演

 【映画深層】

 こわもてからとぼけた味わいまで、幅広い役どころをこなす俳優、國村隼(くにむら・じゅん)(61)はまた、国際派俳優としても知られる。出世作の「ブラック・レイン」(1989年、リドリー・スコット監督)に、ジョン・ウー監督らの香港映画、さらに昨年は韓国の「哭声/コクソン」(ナ・ホンジン監督)と世界を股にかけて活躍しているが、今度はベルギーの女性監督が手がけた公開中の「KOKORO」(ヴァンニャ・ダルカンタラ監督)に、日本の「心」を体現する主役級で出演している。「映画人という人種がいるだけで、国も言葉も関係ない」と言い切る國村の映画観とは-。

言葉ではなく心で表現

 「僕らは来たものにしかリアクションできない。自分から、一緒にやろう、一緒にやろう、と言うて回るわけにはいかないんでね。何が来てもOKなように心は開いているという感じですかね」と、國村は飄々(ひょうひょう)と話す。

 「KOKORO」で演じているのは、日本の小さな島に住む元警察官のダイスケ。彼は崖から身を投げようとする人たちに、言葉で説得するのではなく、ただ寄り添うことで自殺を思いとどまらせてきた。この島にまた1人、どこか陰のある女性がやってくる。弟を突然の事故で失ったフランス人のアリス(イザベル・カレ)は、弟が死の直前、日本で生きる意欲を見つけたと幸せそうに語っていたことが気になっていた。島を訪れたアリスは、崖の上でダイスケと出会い…。

 「台本を読んだときは、ちょっと『えっ』と思いました。日本人よりも日本的というか、言葉というものを介在しない部分が結構ある。本当は『やめなさい』くらいのことを言わなあかんシチュエーションなのかもしれんけど、あえてそうしないのがダイスケなんです。これは面白いと思いましたね」と振り返る。

 日本での撮影は、島根県の隠岐の島で約1カ月にわたって行われた。ダルカンタラ監督とは、初めて会ったときからお互いに「一緒にやれる」という感覚があったという。

 「不思議なもので、波長が合うというのが分かるんです。現場でも、彼女の撮影スタイルは、例えばせりふのやりとりが滞りなくいったからいいわけではない。映像に映り込むものには、お天気も含めていろんな要素があって、そのすべてをちゃんと感じようとしている。彼女が『わあ、すてきなショットが撮れた』というのは、空気感なり何か台本にはないものが立ち上がって、それが人物の心象描写とオーバーラップして見えたりする。そういうことをとても大事にする監督でしたね」

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