思い込みより「まずやってみる」 ポケモンGO開発者が語った“反省”

 昨年7月にリリースされ、世界で7億5000万回以上ダウンロードされたスマートフォンアプリ「ポケモンGO」。1日、開発を主導した米ナイアンティック社の野村達雄氏(31)が横浜市で行った講演で開発の裏側を、詰めかけたおよそ1000人のゲーム開発者達に語った。その意外なエピソードは多くのビジネスパーソンのヒントになりそうだ。

 ポケモンGOは拡張現実(AR)という技術を使い、現実の風景と仮想現実のポケモンを重ねて表示させ、その場にポケモンが存在しているかのように見せるのが特徴だ。それを支えるのがスマホのカメラと、傾きを検知するジャイロセンサーなのだが、野村氏は開発当初「カメラとジャイロだけでは上手くいかない」とこの仕組みを頭から否定していたという。

 代わりにプロトタイプに使われたのが、グーグルマップの360度パノラマ写真だった。ポケモンが現れたら、その場所のパノラマ写真が表示され、そこにポケモンがいるように見えるというわけだ。グーグルのエンジニアとしてグーグルマップを手がけていた野村氏らしいアイデアとも言える。

 だがテストの結果は散々。「全然上手くいかなかった。理論的にはうまくいきそうだが、現実とのギャップが激しかった」。木の葉の色や人の通りなど、リアルタイムではないパノラマ写真とプレイヤーが見ている風景の違いが予想以上に没入感の妨げになっていた。

 これでは現実と仮想現実のミックスではなく、ただの仮想現実。行き詰った野村氏を救ったのが、エンジニアとアーティストを兼任する社員が週末に作ったデモだった。それはカメラとジャイロセンサーを駆使したもので、パノラマ写真を使うより遥かにシンプルなものだったが、開発チームは「これでいける!」と沸き立ち現在のポケモンGOの姿が固まったという。

 「基礎的な、まったく大したことないテクノロジーなのに実際にやってみるとこんなにも効果的なのかと思った」

 野村氏は驚きを振り返るとともに反省も口にした。「簡単な物ならすぐ作れるので、やってみる。それから判断すればいい」。思い込みにとらわれず、まず着手してみようというエールに聞き入ったゲーム開発者達は大きく頷いていた。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ