窮地にこそ娯楽を!日本人「弁士」、混迷のウクライナで国際映画祭出演へ:イザ!

2014.5.23 12:16

窮地にこそ娯楽を!日本人「弁士」、混迷のウクライナで国際映画祭出演へ

 分裂の危機が続くウクライナで6月に開催予定の国際映画祭「Mute Nights(静かな夜の映画祭)」に、活動写真弁士、片岡一郎さん(36)の出演が決まった。開催地は暫定政権側と親ロシア派が衝突を繰り広げた南部オデッサ。「これはさすがにないだろうと思っていたら、4月下旬になって急に『ぜひ来てくれ』と頼まれて…」とにこやかに語る。不安をよそに二つ返事で引き受けたのは、日本文化を届ける熱意と、窮地でこそ娯楽が求められるという信念からだった。

 大学で演劇を専攻し、舞台の演出や戯曲を手がけた。大叔父が弁士だったこともあり、24歳で同じ道に。国内で公演を重ねつつ、2007年のクロアチアを皮切りに、世界各国の映画祭などで精力的に活動を続ける、異色の弁士だ。

 「『弁士』は日本独自の文化。それだけに、欧米の人には新鮮に映るようです」。明治末期、日本に輸入された映画(活動写真)は音声のない「無声映画」だった。上映は、スクリーン脇で巧みに説明する弁士とセットで行われた。無声映画の“本家”欧米では、もっぱら音楽の生伴奏が入るだけ。世界でも珍しい新たな話芸は、日本中の映画館で広く親しまれた。

“クールジャパン”だけではない

 海外で公演するようになって、片岡さんは日本の弁士への関心の高さに驚かされた。「たくさんの観客や関係者が『これはおもしろい!』と声をかけてくれる。こういうものが求められているんだなと実感しました」。演じるのは日本映画やチャップリンなど。日本語で語り、時折字幕が入る程度だが、その醍醐味を伝えられた手ごたえを感じた。

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