文化部記者ベスト3アニメ編 社会現象化した「進撃の巨人」:イザ!

2013.12.30 15:40

文化部記者ベスト3アニメ編 社会現象化した「進撃の巨人」

 2013年のアニメ作品は良作が多く、「ベスト3」を選ぶのに苦労しましたが、主観的に3作品プラス1作品を選ばせていただきました。そのほか、アニメ映画についても少々触れたいと思います。(本間英士)

 ■1位「進撃の巨人」

 今年のアニメ界を語るうえで、やはりこの作品について触れざるを得ません。

 「巨人」たちに追い詰められ、巨大な壁の内側で細々と生き延びる人類。だが、ある日突然現れた「超大型巨人」に壁を崩され、平和な日常が崩壊する-という筋書き。人類が巨人を倒そうと死にものぐるいの努力を重ねても、なすすべもなく巨人に食われる「絶望」の描写と、それでも立ち向かおうとする主人公らの「意志」の強さが対照的かつ、心を打つ作品です。

 アニメでは、原作の面白さとアニメスタッフの熱意がうまくかみ合っていたと思います。各キャラクターは、色がつくことで識別しやすくなり、原作で分かりにくかった場面もうまく“補完”されていました。また、立体機動装置を使うシーンではキャラクターが縦横無尽に動き回るなど、作画陣はファンから愛を込めて「作画兵団」と呼ばれるほどクオリティーの高い仕上がりを見せてくれました。タイトなスケジュールのなか、妥協することなく高品質な作品を作り上げたスタッフ陣に敬意を表します。

 原作漫画の累計部数は2800万部を突破し、主題歌を歌うLinked Horizonは、「紅蓮の弓矢」で紅白の舞台に登場するなど、社会現象にもなった「進撃の巨人」。すでに平成27年の実写映画化が予定されていますが、アニメ2期を含め、さらなる「快進撃」を期待します。

 ■2位「Free!」

 2位はおおじこうじさんのライトノベル「ハイ☆スピード!」が原案で、京都アニメーションが送り出した水泳青春アニメです。

 小学校のときにスイミング大会で優勝して以降、水泳から遠ざかっていた男子たちが高校で水泳部を設立し、かつてチームメートだったライバルと競い合う-という内容。男子同士の友情やすれ違い、真剣勝負を熱く、濃密に描いているほか、筋肉(特に上半身)の描き方に定評のある同作。ネットではよく「女子向け」などといわれますが、内海紘子監督ら女性目線で描かれた「男子間の友情」は、キラキラとまぶしく、とても楽しそうで愛らしい。「こういう世界もあるのか…」と目を開かせてもらった思いです。

 水中でキャラクターが泳ぐ際の描写や、細やかな表情の変化、カット割など、京都アニメーションならではの高クオリティーは健在。主題歌「Rage on」(OLDCODEX)が流れるオープニングも、視聴の際のテンションを上げるポイントになりました。

 関連グッズの売り上げが好調なほか、最終話の放送後に「see you next summer…(来年の夏に会いましょう)」というエンドカードが出るなど、2期の放送がほぼ確実視されている同作。名セリフ「俺はフリーしか泳がない」がまた聞けるのを、今から楽しみにしています。

 ■3位「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」

 3位は迷いましたが、渡航(わたりわたる)さんの原作ライトノベルをアニメ化した“残念系ラブコメ”の「俺ガイル」を選ばせていただきました。

 ひねくれ者で「ぼっち」(ひとりぼっちの意)の高校生男子が、半強制的に「奉仕部」という部活に入部させられ、そこで出会った美少女2人と困っている人たちを助けていく-という、筋書きだけみると「ぼっち」の理想を描いたストーリーですが、それだけで終わらないのが魅力です。

 作中で相当意識されているのが、「スクールカースト」というテーマです。学生のころ、おそらく多くの人が意識した人間関係の序列や閉塞(へいそく)感が、「これでもか」というほど描写されています。主人公による「ぼっちに慣れている自分を犠牲にすることで問題を解決する」という“斜め下”の方法は、アニメをみている視聴者も心苦しいものを感じたのではないでしょうか。

 その一方で、各登場人物は魅力的で、ときどき見せる友情や優しさは非常にほほえましい。全体的な世界観もどことなくきれいな印象を受ける。何とも総括できない、複雑な魅力のある作品だと思います。

 主演の江口拓也さん、早見沙織さん、東山奈央さんら声優陣もハマリ役。学園祭のシーンは、「涼宮ハルヒの憂鬱」の名場面「ライブアライブ」を彷彿(ほうふつ)とさせました(オチに心が痛くなりましたが…)。やなぎなぎさんが歌う主題歌「ユキトキ」も作品とよくマッチしていたと思います。

 ■その他

 平成24年10~12月に放送された、戦車に乗る女子高生の友情を描いた「ガールズ&パンツァー」。25年3月に残り2話が放送されましたが、2カ月以上にわたり“お預け”をさせられたファンの期待を十分満たす仕上がりだったと考えます。特に最終話の黒森峰女学園戦、主人公とその姉による「姉妹対決」の手に汗にぎる展開は目が離せないものでした。

 また、舞台とされる茨城県大洗町では町おこしの企画やイベントが行われ、多数のファンが詰めかけています。決して物珍しさや話題先行ではなく、作品として地力のあるアニメは、多くの人を引きつける“磁力”を持つことを証明していると思います。

 ■映画

 スタジオジブリの「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」…。今年のアニメ映画には勢いが感じられました。

 新海誠監督の新作「言の葉の庭」は、新海監督ならではの絵づくりや心理描写が秀逸。アニメの後日譚を描いた「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」をみたあとは、あふれる感情を抑えきれず、「聖地」埼玉県秩父市に行ってしまいました。

 漫画が原作の「劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ」は、想定以上に笑って泣ける、まさに「完結篇」にふさわしい作品。ゲームが原作の「劇場版 STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート) 負荷領域のデジャヴ」や、「PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth」も期待通りのでき映えで、待ちわびた原作ファンも満足させる内容に仕上がっていたと思います。

 2014年は「攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears」や「宇宙兄弟」、「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」、「劇場版 THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」など、話題作の公開が続々と控えています。

 「世界中でアニメが人気」という報道を多く目にしますが、普段アニメに親しまれていない方も、この機会に「アニメデビュー」されてみてはいかがでしょうか。

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