AIが肌診断、ロボットアームが商品選び 化粧品「SK-II」の新型店は、販売員が“グイグイ来ない”

 化粧品ブランド「SK-II」(エスケーツー)を展開するP&Gプレステージは6月6日、テクノロジーを活用した体験型ショップ「SK-II Future X Smart Store」(東京都渋谷区)を報道陣向けに公開した。6月7日~8月12日の期間限定で営業する。AIやロボットアームが肌の診断や接客を担当し、販売員は“あえて一歩下がる”ことで、顧客が買い物をしやすい雰囲気を醸成する狙いだ。

 化粧品業界では、販売員が接客やアドバイスをする中で、顧客が「絶対に買わないといけない」とプレッシャーを感じたり、必要以上に商品を買ってしまったりするケースがあるという。テクノロジーの力でこれらを防ぎ、顧客がリラックスして買い物ができる状況を作る。

 店内には若手社員が常駐するが、顧客のニーズに応じて相談に乗る程度の接客にとどめ、「心地の良い距離を保つ」としている。

ロボットアームによる接客

ロボットアームによる接客

 AIを活用、約3分で肌診断

 AIによる肌状態の分析「マジック スキャン」ができるブースには、鏡台が5つ並べられている。鏡の裏側には顔写真を撮影するカメラが、手元にはタッチスクリーンで操作できるディスプレイが配置されている。

 来店者が鏡台の椅子に座り、肩乗せスピーカーを首に掛けると、操作のガイダンスが流れる。音声に従って画面上に年齢を入力し、「毛穴・テカリ」などの選択肢から肌の悩みを選ぶと、カメラが起動して顔全体をスキャン。3分間ほどかけて、シミやキメなどの状態を分析し、目・頬・口のエリアのコンディションを3段階で評価する他、“肌年齢”を診断する。

 詳細は非公開だが、診断を担当するAIは、さまざまな肌状態の女性の顔写真を数多く機械学習している。分析の際にはクラウドは活用せず、店内のサーバを使用する。顧客が気軽に利用できるよう、店内で取得した写真やデータは学習には使用しない方針。

AIによる測定の様子

AIによる測定の様子

 測定結果を表示した後は、おすすめ商品の紹介画面に遷移。顧客の肌状態や悩みに応じて、SK-IIシリーズの中から最適なものを2種類レコメンドする。ひげが濃い場合などを除き、男性の診断にも対応する。

 記者(27歳男性)が測定すると、肌年齢は26歳だが、目元の肌の状態が不安定なため、目元に潤いを与える「R.N.A.パワーアイクリーム」がおすすめとの結果が出た。

 かつてP&Gプレステージが同様の企画を行った際は、顧客の肌を同世代と比較した上でスコアリングする仕組みだった。これも顧客にプレッシャーを与えると判断し、個人の状態を分析するものに仕様を変更した。

記者の測定結果

記者の測定結果

 ロボットアームが化粧品を手渡し

 ロボットアームによる接客ブースには、化粧品が並べられたカウンターの中に「Yumi」(ユミ)と名付けられたアームが備え付けられている。合成音声による発話にも対応し、近づくとあいさつなども行う。

 顧客が備え付けのタッチスクリーンを操作し、乾燥、小じわ・ハリ、シミ・くすみ、毛穴--などの選択肢から肌の悩みを選ぶと、アームが突然反転。棚に置かれた5種類の商品の中から、顧客に合ったものを1つつかみ、手元まで持ってくる。その人間顔負けのキビキビとした動きに、報道陣からは驚きの声が上がっていた。

ロボットアームが商品をつかむ様子

ロボットアームが商品をつかむ様子

 アイトラッキング技術を搭載したディスプレイも

 店内にはこの他、アイトラッキング技術を搭載したディスプレイ「マジック ミラー」がある。化粧品の使い方を表示しており、顧客は目だけで解説文のページをめくりながら、手元で美容液やクリームを試し塗りできる。

アイトラッキング技術を搭載したディスプレイ「マジック ミラー」

アイトラッキング技術を搭載したディスプレイ「マジック ミラー」

 化粧品のボトルを、通常デザインから限定デザインに加工する様子が見られる自動販売機や、限定デザインと同じ配色のセットを背景に、30台のカメラを使って“セルフィー動画”を撮影できるブースなども設けている。壁に専用のスマートフォンを向けると、商品の解説をAR表示する仕掛けもある。

店舗の外観

店舗の外観

 P&Gプレステージの担当者は「現代の消費者は買い物をする前に、ほしい商品の情報を7回ほど検索をしてから来店するという調査結果がある。今回の店舗では、すでにネットに載っていることを接客でお伝えするのではなく、新しい体験をお届けしたいと考えた」と話している。

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