「転職は35歳まで」は時代遅れ 管理職に専門家がアドバイス

 転職がうまくいくのは20代まで、35歳を超えたら見向きもされない-。ビジネスパーソンの間で当たり前のように語られる「35歳転職限界説」だが、年収800万円以上の「ハイクラス人材」に限れば実態は定説の真逆のようだ。一部の企業では逆に、経験を積んだミドル層の採用に力を入れているという。

 人材サービスのパーソルキャリアは昨年10月、東京、名古屋、大阪、福岡に在住する6503人を対象にインターネット調査を実施。ハイクラス人材の転職事情をまとめた。 1年以内に転職を成功させたハイクラス人材の年齢について調べると、最多は50~59歳(42.2%)。続いて40~49歳(32.2%)、35~39歳(11.8%)だった。30~34歳が7.4%だったことを加味すると30代は19.2%。定説に反してハイクラス転職市場で少なくない割合を占めている。

 なぜ「35歳転職限界説」は時代遅れになったのか。パーソルキャリアの清水宏昭氏はこう分析する。

 「リーマンショック後など就職氷河期の時代に新卒採用を控えた企業において、30代から40代の社員不足問題が深刻化しており、ミドル層の採用が活発化していることが考えられます」

 バブル崩壊後の1990年代半ばから約10年の間に就職活動で苦労した“ロスジェネ世代”にチャンスがめぐってきたとも言えそうだ。

 一方、ハイクラス人材といえども、転職先に現職と同等のポジションを求めるのは簡単ではないようだ。ハイクラス人材の場合、同業界内で大企業から大企業へ、管理職から管理職へ転職を希望することが多いが、新卒から計画的に優秀な人材を育てている大企業に“外様”が入り込むのは難しいという。

 そうした事情を反映してハイクラス人材の転職活動期間は長期化する傾向にある。年収800万円~1000万円の人のうち65.5%が転職活動に半年以上かけており、「3年以上かけた」人は16.7%だったという。年収200万円~600万円の層では49.7%が3カ月以内に転職活動を終わらせているのとは対照的だ。

 パーソルキャリアの調べによると日本のビジネスパーソンのうち管理職の社員は11.9%。今回の調査ではハイクラス人材の76.5%が管理職ということも分かっており、管理職から管理職への転職の難しさが浮かび上がる。

 清水氏は、そうしたハイクラス人材に対し、「中長期的に見ると、異業界や急成長企業のほうが年収がアップする可能性が高い場合もあります」とアドバイスを送る。保有スキルが他業界で高く評価される、急成長で人材が不足しているなどの要因により年収アップのチャンスが広がる可能性があるという。“終身雇用信仰”が崩れるなか、転職市場では幅広い視野で様々な業界を眺め、冷静に自らのスキルとキャリアを見つめることが、より重要になりそうだ。

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