官民挙げた“QR狂想曲”はどこ向かうのか…QRコード決済って本当に必要?

 銀行業界も負けてはいない。みずほフィナンシャルグループは今春にも地方銀行60行程度と共同で新たな電子マネーを発行し、QR決済ができるようにする。

 こうした流れが生まれたのは、政府が20%程度と国際的に低い日本のキャッシュレス比率を2025年までに40%まで引き上げる目標を掲げ、業界を後押ししているためだ。中国やインドなど新興国企業に主導権を奪われる危機感が背景にあり、18年10月に産学官の協議会が規格統一の方針を発表するなど昨年は「QR決済元年」ともいわれる。

 ■根強い現金信仰

 とはいえ、全国に張り巡らされたATM(現金自動預払機)網の恩恵で現金の使い勝手がいい日本では、“現金信仰”がいまだに根強い。また、高額消費に向いたクレジットカードと決済速度が速い交通系電子マネーが普及していることもあり、スマートフォンでアプリを立ち上げないと使用できないQR決済がどこまで普及するかは未知数だ。

 金融とITが融合した「フィンテック」の競争が激しくなる中、QR決済の主導権争いは銀行やクレジットカード会社といった既存大手の牙城を崩そうとIT業界などの新興勢力が揺さぶりをかける場と化した。無論、競争が激しくなることで国内でキャッシュレス決済の普及が遅れている小規模店舗や地方での導入を促す効果が期待できるが、18年末のペイペイのキャンペーンではクレジットカードが不正に利用される被害が相次ぐなど、まだまだ発展途上のサービスだ。

 銀行など既存大手からは口座振替や振り込みを算入すれば日本のキャッシュレス比率は既に5割を超えていると、急速な非現金比率の引き上げ方針に疑問を呈する声もある。国内外問わず、消費者にとって最も使い勝手がいい決済手段は何なのか、一度冷静に問い直す必要がありそうだ。(経済本部 田辺裕晶)

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