変わるパナソニック、受け継がれる家電の技術 「BtoB事業」育成

【ビジネスの裏側】

 パナソニックが家電中心の事業構造から脱却を図っている。今年1月上旬に米ラスベガスで開催された米家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では家電の展示を無くし、リビングのような快適な空間を実現したコンセプトカーや運転システムのほか、流通、物流でのオートメーションシステムを披露。企業向けのBtoB事業の製品がならび、パナソニックの変化を印象づけたが、これまで同社の業績を牽引(けんいん)した家電の技術も生かされている。(中山玲子)

 リビングのような車

 「車の中でも家のリビングに居るような感覚です。天井などには、好きな映像を映すことができます」

 1月9日、米ラスベガスで開催されたCESで披露されたパナソニックのコンセプトカー。記者らが後部座席に座ると、運転席に座った担当者がシートを180度回転、前方座席と後部座席が向かい合う形となり、自宅のソファのようだ。内側の窓ガラスや天井には、海の中で魚が泳ぐ映像が映し出され、車内で流された高音質の音楽と相まって、ぜいたくな空間が演出されていた。

 コンセプトカーは2030年以降の完全自動化を想定して製作。車内に用いられた音響や映像の機器は、同社が創業以来長年にわたって手がけてきた家電の技術が反映されている。家の中で提供してきた技術を、今度は車の中でも使ってもらう戦略だ。

 展示はほぼ「BtoB」

 パナソニックはほかに、航空機向けのエンターテインメントシステムや工場などでの利用が想定される自動搬送ロボなども展示。ほぼすべてが企業向けの事業である「BtoB事業」で占められた。

 CESは1967年にスタートし、パナソニックは初年から参加。60~70年代にはカラーテレビ、80年代にパソコンやCDプレーヤー、90年代に入るとDVDプレーヤーなど、その時代の最新機器を展示。2000年代以降は高画質のプラズマテレビを出展、半世紀にわたり多種多様な家電を展示してきた。

 家電の会社から次へ

 パナソニックは平成17年に尼崎工場のプラズマパネル工場の稼働を開始。薄型テレビの販売で液晶との価格競争に陥り、23、24年度は7500億円以上の巨額赤字を計上した。24年に大坪文雄社長(当時)からバトンを受けた津賀一宏社長は、同年秋に「デジタル家電の負け組になった」と語り、車載事業などにシフトしてきた経緯がある。

 ただ、コンセプトカーの車内空間の機器が家電技術から派生したものであるように、長年培ってきた同社の家電の技術は確実に現事業に受け継がれている。1世紀近くにわたって家電のトップメーカーとして支持されてきたパナソニック。社会のニーズに柔軟に対応しながら、中核事業を育てていこうとしている。

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