中国「青空防衛戦」で凍える市民、工場休業多発…経済成長に暗い影

【ビジネス解読】

 「青空防衛戦」と銘打った中国の脱石炭政策が迷走している。習近平指導部の顔色をうかがう地方政府が計画以上に天然ガスへの転換を進めた結果、天然ガス価格は昨春の2倍以上に急騰。暖房が使えず寒さに震える市民が続出し、工場の稼働停止も相次いでいる。市民の不満が根強い環境汚染に対策を講じることで求心力を高めるはずが、逆に“厳冬期にガス欠”という混乱を招き、経済成長の鈍化も避けられない情勢だ。

 「上の息子はいつも、なぜ家がこんなに寒いのかと聞いてくる。私ができるのは、セーターを着せてやるだけだ」

 黄河の北、河北省の寒村で幼い息子2人が、いつもの冬より頻繁に体調を崩すのを心配する親の様子をロイター通信が伝えた。省内の小学校では、暖房がないため日差しのある戸外で授業を行い、児童が凍傷になったとも報じられている。

 中国北部では伝統的に暖房に石炭を使う。ところが、質の悪い石炭を燃やすため大気汚染の原因になっており、中国政府は昨年8月、北京や河北省などの大気汚染対策を発表し、冬を迎える前に石炭から天然ガスへの切り替えを徹底するよう指示。目標を達成しない地方政府の責任を厳しく追及する方針を示した。

 これに過剰反応したのが地方政府だ。「青空防衛戦に断固として打ち勝つ」と表明した習指導部の旗振りを忖度(そんたく)して成果を出すことを優先。「村への石炭持ち込み禁止」との標語を掲げ、ガスの配管が通っていない家や、暖房に必要な家庭用ガスボイラーが設置されていない住宅があるにもかかわらず、切り替えを急いだ。対象世帯を当初計画の1~2倍の幅で引き上げた地域もあったという。さらに天候も追い打ちをかける。河北省は今冬、氷点下をはるかに下回る気温が予想されている。

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