東証1部上場企業が2年ぶり増収増益へ…世界景気拡大や円安が後押し 収益力強化も着々

 3月期決算企業の平成29年9月中間決算の発表が10日、ピークを迎えた。SMBC日興証券が、9日までに発表した東京証券取引所1部上場の1042社(金融除く、全体の79・7%)を集計したところ、売上高や営業・経常・最終の各利益は前年同期を上回っており、9月中間決算としては27年以来2年ぶりに増収増益となる見通し。また各利益は2年ぶりに過去最高を更新する可能性がある。

 世界的な景気拡大や円安が主な要因だ。9日発表分までで、売上高は前年同期比8・3%増の199兆1490億円、営業利益は15・2%増の16兆2770億円、経常利益は21・5%増の18兆4630億円、最終利益は23・3%増の12兆5530億円。決算発表を終えていない企業を勘案しても増収増益の見通しで、各利益は過去最高を更新するペースで推移している。

 製造業の経常利益は34・8%増で、非製造業の6・4%増に比べて伸びが顕著だ。業種別では、鉄鋼が約3・4倍に急回復。機械は63・4%増、電気機器は56・5%増と大きく増えた。

 30年3月期通期の業績予想を上方修正する企業も多く、9日までに303社が経常利益を引き上げ、下方修正の90社を圧倒した。

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 日本の企業業績が快走している。9月中間決算として、経常利益の実績が自社予想を上回った企業の割合が過去10年で最高水準だ。世界景気の回復や円相場の安定といった外部環境の好転が後押ししているが、企業が取り組んできた収益力強化が効果を生んでいることも背景にある。

 国際通貨基金(IMF)は10月、今年と来年の世界全体の成長率予想を引き上げた。世界景気の回復は、海外展開を進める日本企業に追い風だ。また、前年は6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定で円相場が一時1ドル=100円を割る急激な円高となったが、今年は4~9月の平均が1ドル=111円と、前年同期(1ドル=105円)や企業の想定よりも円安で推移。トヨタ自動車は円安などを踏まえ、30年3月期通期の営業・最終利益予想を上方修正し、従来の減益予想から一転して増益を見込む。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、東証1部上場の3月期決算企業で29年9月中間決算の経常利益が自社予想を上回って着地した割合は9日時点で79・5%と、過去10年では22年9月中間決算の77・0%を上回って最も高い。渡辺篤クオンツアナリストは「景気回復や円安の追い風に加え、前年は為替変動が大きかったことなどで企業が自社の業績予想を保守的に作成していた側面もある」と語る。

 足元の好業績をめぐっては、企業による「ここ数年の収益構造改革の成果が結実している」(SMBC日興証券の清水喜彦社長)といった見方も聞かれる。

 三菱商事は29年9月中間決算の最終利益が前年同期比41・2%の大幅増で、30年3月期通期の最終利益予想も上方修正し過去最高益を見込む。増一行最高財務責任者(CFO)は「(業績への影響が大きい)資源価格の上昇に目が行きがちだが、事業系の稼ぐ力が着実に強化されている。当社の総合力が発揮された」と強調する。

 年度の折り返し地点を通過し、これからの企業業績に“死角”はないのか。

 中国は共産党大会を10月に終え、今後の景気動向が注目される。日立建機の桂山哲夫常務は「(建設機械の)需要急減は想定しにくくなった」としながらも、「(高水準にある)インフラ投資はどこかで落ちてくるとの心配はしている」と状況を注視する考えだ。

 国内の個人消費の動向についても、キッコーマンの堀切功章社長は「決して財布のひもが緩くなっているとはいえず、全体的に消費がそれほど盛り上がっている感じはない」と話す。

 ソニーは30年3月期通期の営業利益予想を引き上げて20年ぶりの最高益更新を見込むが、吉田憲一郎副社長は「経営の緊張感、危機感をどう維持していくかだ」と手綱を引き締めた。

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