東芝、WD不信感拭えず 経営権固執に我慢の限界

 20日に決着した東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却交渉は、売却先が二転三転する異例の経過をたどった。背景には裁判と条件闘争で東芝を翻弄し続けた米ウエスタンデジタル(WD)の存在がある。一度は東芝メモリを手中に収めかけたWDだが、執拗に経営権にこだわり、強硬姿勢を貫き通したことが、最後に自らの首を絞めた。(万福博之)

 「WDと徹底的に戦いましょう」

 今月8日、東芝本社で米投資ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」の関係者は、東芝の綱川智社長や成毛康雄副社長にこう訴えた。

 かつて地球上に存在した超大陸にちなみ「パンゲア計画」と名付けられた買収計画の最終案には、WDが他陣営への売却中止を求め起こした訴訟に対し、東芝と共闘する決意表明が記されていた。「ストーリーがはっきりしている」。東芝首脳の評価で売却交渉の流れは変わった。

 東芝は6月21日に日米韓連合を優先交渉先に選んでいた。だが、6月末としていた最終合意は難航した。WDが5月に国際仲裁裁判所に提訴し、連合の中核を担う官民ファンドの産業革新機構などは、係争が解決するまで契約できないと主張したからだ。

 早期決着するには訴訟リスクのないWD陣営しかない-。契約の期限が迫る中、この見解で一致した経済産業省と主力取引銀行は、8月中旬から東芝に強く働きかけた。結果、東芝もWDが加わる日米連合を軸とした交渉に転換を余儀なくされた。

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