チューハイ、メーカー・居酒屋の主力に成長 果実などにこだわり

【ビジネスの裏側】

 夏本番を迎え、キンキンに冷えたビールが恋しい季節がやってきた。ところが、最近ではビールが担ってきた乾杯の定番の位置にチューハイが割って入っている。関東発祥とされるチューハイは関西でも人気が高まっており、果実などにこだわったチューハイを提供する飲食店が増加。各メーカーも缶チューハイの商品群拡充を進めている。(藤原直樹)

 店もこだわり

 肉料理を充実させた居酒屋「牛タンべこ串」(大阪市福島区)では、レモンチューハイだけで6種類用意する。通常の味に加え、塩味を加えたものや、ハチミツやシソ、ユズなどを追加したものがあり、好みに応じて選ぶことができる。

 店長の吉川貴紀さんは「1杯目からチューハイというのもめずらしくなくなった。チューハイは料理に合わせて味をアレンジしやすく、店にとってもありがたい」と話す。

 牛タンべこ串では平成27年7月のオープン以来、焼酎や果実など材料にもこだわっている。レモンチューハイを飲んでいた大阪市淀川区の小松希美さんは「果実味が豊富なので、アルコールが苦手でも飲みやすい」と笑顔を見せた。

 大阪・北新地や京都・四条河原町でも生搾りの果実にこだわったチューハイ専門店がオープンするなど、チューハイに注力する店が増加している。

 SNSが一役

 チューハイの定番といえばレモンチューハイだが、その起源は昭和40年ごろにさかのぼる。東京・中目黒のもつ焼き店で、安価な酒として人気だった焼酎を飲みやすくするために炭酸で割り、レモンをしぼって入れる飲み方が誕生した。

 50年代後半ごろに居酒屋チェーンが全国的なブームとなり、これらの店がチューハイを主力商品の一つとしたことで一気に広がった。ただ、東京発祥のためか、関西での定着度はそれほど高くなかった。

 近年では、レモンチューハイ好きを公言する有名アーティストらが増加し、産地にこだわったレモンや凍らせたレモンをどっさり入れたこだわりの1杯をツイッターなどで相次いで発信。若者への人気が高まったほか、関西での定着も急速に進んでいる。

 更に種類拡充

 家庭でもチューハイを楽しむ人が増加している。ビールや清酒などが減少か横ばいとなるなか、缶チューハイを中心としたソフトアルコール飲料の市場規模は9年連続で前年を上回っている。このため、各メーカーは缶チューハイを主力商品と位置づけるようになってきた。

 59年に国内初の缶チューハイを発売した宝酒造は、「食事と合わせて飲む」をテーマにアルコール度数が7~9%と高めで強炭酸、辛口を実現した「焼酎ハイボール」シリーズを展開。同社は「爽快感が若者にも人気」とする。

 「ザ・プレミアム・モルツ」でビールの高級路線に成功したサントリーホールディングスは、チューハイでもこの路線を持ち込み、果汁だけでなく、果実浸漬酒などを加えた高価格帯の「こくしぼりプレミアム」シリーズを販売しており、売り上げは好調という。

 キリンビールも、氷結させた果汁をサングリアなど世界各地の酒と配合した新シリーズ「旅する氷結」を3月から展開。各社とも工夫をこらしたラインアップで暑い夏に挑む構えだ。

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