東芝半導体売却 経産主導による「再生」へ 「官製連合」での再建は前例なし

 東芝とWDの対立などで迷走を重ねた東芝メモリの売却交渉は、経産省が主導してまとめた「日米韓連合」にひとまず決着した。東芝の財務改善で不可欠な売却金額以上に、重要技術や雇用の国内維持という「国益」を重視する政府の強い意向に沿った結果だ。

 「われわれは経産省の意向に従うだけだ」

 日米韓連合の関係者は、交渉の最中にこう繰り返した。

 だが、雇用維持などを名目に政府が「官製連合」で救済した企業で想定通りに再建が実現した例は少ない。半導体のエルピーダメモリは経営破綻して米企業に売却され、液晶パネルのジャパンディスプレイも危機から脱することがいまだにできていない。

 その要因の一つが寄り合い所帯ならではの経営判断の鈍さだ。日米韓連合も産業革新機構などの日本勢が主導権を握るが、土壇場になって別陣営を合流させた急造所帯。変化や競争が激しい半導体の世界で、巨額の投資判断などを機動的に下せるかには疑問符が付く。

 一方の東芝も、東芝メモリが計画通り売却できても再建への道のりは険しい。経営危機の度に成長事業でも売れるものから切り売りした結果、「解体」が進行し、次の収益源を見いだすのが難しくなっている。

 社会インフラ事業中心の企業として再スタートを切るが、国内外に強力なライバルがひしめく中で、信頼を失った東芝が競争を勝ち抜くのは並大抵のことではない。(万福博之)

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