高齢者による運転事故を防止する人間工学 ペダルのオフセット(位置調整)問題を解決

 左ハンドルのペダルレイアウトを鏡映しにするように左からアクセル、ブレーキ、クラッチにすれば良いのだが、ペダルの並びには国際基準があって、並び順は変えられない。

 この状況を改善しようと思えば、例えば、運転席を10センチ程度後ろにセットバックすれば問題は解決するだろうが、運転席が後方に10センチ移動してリヤシートのレッグスペースが10センチも減ったら、ユーザーからの支持は得られない。

 この問題を根本的に解決する方法は、タイヤそのものを前に押し出すことだ。そうすればタイヤハウスとペダルが干渉しなくなる。しかし、FFのコンポーネンツはエンジン/ミッション/ホイールの相互位置が完全に固定されており、思い付きでそう簡単にタイヤの位置を変えられない。開発に巨額のコストを要するエンジンやミッションは数世代にわたって使うのが当然だから、改めるにしても時間がかかる。

ようやく始まった解決の動き

 マツダの場合、SKYACTIV世代のエンジン/ミッションをすべて新規起こしで開発する際に、このホイール位置の改善を全ユニットに織り込んだ。そうやってホイール位置を前に出して、ようやくペダルオフセット問題を解決したのである。同じことはトヨタのTNGA(Toyota New Global Architecture)世代のクルマでも行われている。日本の自動車メーカーもようやく一部のメーカーが右ハンドル市場のハンデを解決する気になってきたのだ。

 当然のこと、ペダルオフセットに対する問題意識が高くなければ、こういう設計は行わない。多くの自動車メーカーは口を開けば「カスタマーファースト」だとか「人間中心」だとか言うが、その割には何十年も前からずっと言われてきたペダルオフセット問題がまだまだ解決されていない。事は安全にかかわる問題だけに、口だけではなく本気で取り組んでほしい。

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