高齢者による運転事故を防止する人間工学 ペダルのオフセット(位置調整)問題を解決

 そして恐るべきことに、この足の捻り許容角は年齢とともに小さくなっていく。今大丈夫だからと言って、これから先ずっと大丈夫かと言えばそうではないのだ。そして若い人にとっても不要な捻り動作を伴う操作は負荷が高く、運転が長時間になれば疲れが伴うはずである。疲労が蓄積すれば動作の精度が落ちる。

 だからペダルのオフセットはダメなのだ。それが直らない理由も書き添えておこう。1930年代ごろまではペダルの並びにはバリエーションがあり、アルファ・ロメオ8C2300などは右端がブレーキ、中央がアクセルというレイアウトだった。これがやがて右からアクセル、ブレーキ、クラッチというペダルの並びに統一されていく。

 小型車のパッケージを追求していくと、運転席をできるだけ前に出したくなる。リヤの居住性が向上するからだ。運転席を前に出すためにネックになるのはエンジンとタイヤの位置である。1980年代以降の小型車はほぼ横置きFFなので、エンジンは前後方向にはあまりスペースを取らない。なので運転席を前に出すためには、エンジンよりもタイヤハウスが邪魔になる。これを避けてオフセットさせた場合、左ハンドルならば3つのペダルが右にオフセットする。足を捻る方向の自由度は内転と外転で差があり、やってみれば分かるが内転の方がより厳しい。つまり右にオフセットする分には実害が小さい。しかもホイルハウスの出っ張りはそのままフットレストにできる。

 右ハンドルの場合は、ペダルが左にオフセットする。タイヤハウスとアクセルペダルのストロークが干渉しないためにアクセルペダルが左へ逃げ、それによってブレーキもクラッチも左へ押し出される。しかもその左にフットレストを別途設けなくてはならないから、スペースがよりキツくなるのだ。

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