高齢者による運転事故を防止する人間工学 ペダルのオフセット(位置調整)問題を解決

 次に機械式の発券機で駐車券を取る動作を試した。これもブレーキペダルを踏んだまま窓を開けて上体を乗り出し、駐車券を取るという動きだ。相当に意識していないとペダルから足が浮きそうになる。そして悔しいが新型ではそうならない。あるいは度合いが圧倒的に低い。ペダルオフセットは高齢者の事故を誘発する大きな問題である。

 一通りの体験後、なぜこんなことが起きるのかについてレクチャーを受けた。キーになるのは太ももの捻りである。もしあなたが今椅子に座っているのであれば、右足のかかとを基点につま先を内側に捻ってみて欲しい。これはオフセットのあるブレーキペダルを踏んでいる状態だ。そのまま上体を右に捻ると、脚全体の捻りがそれ以上追随できず、身体の捻りに引っ張られてペダルから足が離れてしまう。今度は上体を左に捻ってほしい。この場合、上体を右に捻るよりはマシだが、それでもかなり意図的に足首とかかとの位置を維持しようと思わなければ、ペダルの踏力が変わってしまう。

 さて、もう一度実験だ。今度は最初にブレーキペダルを踏むときに足首を捻らない。普通に座って真っ直ぐにブレーキペダルを踏める、つまりオフセットのないケースである。そのまま左右に上体を捻ると、足首の角度をほぼ維持したまま、つまり安定してペダルを踏み続けることができる。

足の捻れ角と人体構造

 人間工学的に見れば、大腿部を捻る動作には最大角があり、それ以上は人体の構造上回らない。ブレーキを踏む動作で捻り角を使い切ってしまえば、それ以上捻る動作への対応ができなくなり、上体の動きにつられてペダルから足が離れる。何かに似ていると思って思い出して見れば、人体構造上、力の入らなくなる角度を利用した護身術、例えば合気道と似ている。どんなに力自慢であっても、その構造上のウィークポイントを利用されれば、簡単にふりほどかれてしまう。

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