再延期の波紋(中)葛藤の日銀 事実上の「ヘリマネ」へ… 物価目標達成に期待、「国債の信認」に不安

 「事実上のヘリコプター・マネー(ヘリマネ)政策じゃないのか?」

 安倍晋三首相が消費税率10%への増税の再延期を表明した1日夕、大手証券会社には海外の投資家からこんな問い合わせの電話がかかってきたという。

 ヘリマネは、空からお金をばらまくように、国民に直接お金を配る「究極の金融緩和」だ。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長がかつて例え話として示し、有名になった。

 実際には、政府が償還期限のない永久国債を発行し日銀に直接売り、日銀から調達したお金を減税や公共投資などの財政拡張に充てるという手法だ。政府はお金を返す必要がなくなり、利子も払わなくていい。

 ただ、国の借金を日銀が肩代わりする「財政ファイナンス」とみなされ、国債や円の信認が損なわれる危険も大きい。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は4月の記者会見で、「現行の法制度の下では(国債の直接購入は)できない」と明確に否定したが、日銀は既に大規模金融緩和で大量の国債を買い続けており、市場では「事実上の財政ファイナンス」と不安視する声もある。

 こうした中、安倍首相は5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、金融政策、財政出動、構造改革の先進7カ国(G7)版「三本の矢」を総動員する構えをみせた。

 増税再延期で国の財政健全化が遠のく中、財政出動と日銀の追加緩和が矢継ぎ早に打ち出されれば、ますます財政ファイナンスの色彩が強まる。

 「今後の追加緩和がヘリマネとみられないだろうか」

 ある日銀幹部はこう危惧する。

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