世界揺さぶる党指令型の破綻 米国と結束して金融自由化早期実行迫れ

 過剰生産自体、党による市場支配の副産物である。鉄鋼の場合、中国国内の需要の5割以上が建設、不動産およびインフラ部門とされるが、党中央は2008年9月のリーマン・ショック後に人民銀行の資金を不動産開発部門に集中投下させて、ブームをつくり出した。自動車の過剰生産も構造的だ。党内の実力者たちが利権拡張動機で、影響下に置く国有企業各社の増産、シェア競争を促す。

 需給や採算を度外視した企業の行動は通常の場合、万全とはいえないとしても、銀行や株式市場によってかなりの程度、チェックされる。ところが中国の場合、中央銀行も国有商業銀行も党支配下にある。株式市場も党が旗を振れば金融機関もメディアも一斉に株価引き上げに奔走する。その結果、株価は企業価値から大きく乖離(かいり)し、典型的なバブルとなる。

 おまけに、中国主導のアジアインフラ投資銀行設立と「元国際化」に執着する習近平政権は実体経済の不振にもかかわらず元高政策を取り続け、デフレ圧力を呼び込んできた。結局、元安調整に転じたが、カネが一斉に逃げ出した。

 党指令型経済の破綻はもはや隠しおおせない。習近平政権は不正蓄財を摘発しても、党権益全体の喪失につながる抜本的な改革に踏み出せるはずはない。

 国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)はやんわりと元の変動相場制の移行や金融自由化を促し始めたが、安倍晋三政権はこの際、米国と結束し、欧州や他の新興国とも連携し、中国に対して早期実行を迫るべきだ。さらに、財政・金融両面でアベノミクスの再強化を図るときだ。(編集委員 田村秀男)

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