消費税率10%に引き上げたら税収総額ガクッと減る恐れ:イザ!

2014.9.19 22:10

消費税率10%に引き上げたら税収総額ガクッと減る恐れ

 【お金は知っている】来年10月から消費税率を予定通り10%に引き上げるべきかどうか、議論が始まった。「さすがにこの人だけはよくわかっているな」と思わせたのが、安倍晋三首相の14日のNHK番組での「経済がガクッと腰折れしたら思惑通りに税収は上がらない」との見解である。首相に比べ、与党幹部がこぞって財務官僚の描くシナリオをなぞらえている姿は何とも不可解だ。

 消費税増税しても、国の一般会計税収総額は増えるどころか、「ガクッと」減ってきた、という事実を8月1日付の本欄で紹介した。首相発言を裏付ける材料として、今回再度掲載したのが本グラフである。グラフは1997年度の消費税増税以降、増税前の96年度と比べて税収がどうなったかを示している。所得税収と法人税収は大きく落ち込み、その減収分が消費税増収分をはるかに超えて財政が悪化し、現在に至る。全体の税収が増えたのは97年度だけだが、同年度でも消費税以外の税収は減っている。98年度からはデフレ局面に入り、消費税を含む全体の税収は96年度を下回り続けている。

 拙論は昨年の消費税率の8%引き上げ最終決定時にも「消費税増税で財政収支は好転しない」と指摘してきたが、今回安倍首相がその点に気付いてくれたようで、心強い。

 消費税率を引き上げた結果、慢性的なデフレ不況に陥ってしまったために、財政収支が悪化の一途をたどってきたが、今回もその誤りを繰り返しかねない。仮に安倍首相が来年の10%への税率引き上げを見送る決断をしたとしても、すでに今年4月からの増税に伴って、4~6月期の家計実質消費は戦後最大級の落ち込みを示している。

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