【企業攻防】サッカーW杯 国内素材メーカー苦戦の裏側…揺らぐ“お家芸”:イザ!

2014.3.30 12:32

【企業攻防】サッカーW杯 国内素材メーカー苦戦の裏側…揺らぐ“お家芸”

 4年に1度のサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕まで3カ月を切った。5大会連続出場と日本代表チームが躍進する一方で、ユニホームなどを供給する日本メーカーの存在感は薄れつつある。アシックスなど国内ブランドのスポーツウエアだけでなく、ユニホームに使われる繊維素材についても、東レなど国内合繊大手の名前が消えたのだ。吸湿性や速乾性に優れた機能性繊維は、複数のチームに提供を続けてきた日本の得意分野だが、世界的なスポーツイベントの影で、静かな“地殻変動”が起きている。

 ■奪われた「代表」

 昨年11月、千葉県成田市のホテルで、W杯ブラジル大会の日本代表の新ユニホームが初公開された。供給するのは独アディダスだ。

 ジャパンブルーを基調に、肩部分には毛筆風の一本線をあしらい、選手らが円陣を組むと一本の赤い輪ができる。意匠を凝らしたデザインだけでなく、素材も斬新だ。新素材「アディゼロ ラ・イト」は、前回モデルに比べて約20%軽量化し、上衣一枚が約90グラムと同社では最軽量の高機能繊維だ。

 「かなり頑張って作っているな…」

 発表会に先立ち開かれた展示会で、ユニホームを手に取った東レスポーツ・衣料資材事業部の柴司部長は思わず唇をかみしめた。

 東レが開発した素材「ファブリックダブルエックス」は、前回2010年のW杯南アフリカ大会で、日本代表のチームユニホームに採用された。従来品に比べて吸水性は3倍、乾燥速度は2倍向上し、30%もの軽量化を果たした高機能素材だ。日本代表のベスト16入りを陰ながらサポートしたとの自負もあった。

 しかし、採用されたのは他メーカーの素材だった。アディダス側は素材供給元を明かさないが、業界内では帝人や東洋紡など国内メーカーではなく、台湾の南亜塑膠や韓国のヒュービス、中国の盛沢盛虹など、アジア系繊維メーカーではないかとの憶測が飛び交っている。

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