「世界遺産」富士山観光、リニアを起爆剤に 外国人客が急増

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された富士山の地元で、長期的な観光誘致を目指し、リニア新幹線への期待が集まっている。

 「世界遺産」登録後、外国人を中心とした観光客の増加にわいているが、これを一時的なブームに終わらせないために、時速500キロ超の高速鉄道への試乗を呼び水にしようという狙いだ。

 富士山観光の入り口となる山梨県立富士ビジターセンター(山梨県富士河口湖町)では昨年6月の世界遺産登録後、外国人観光客が急増。一昨年までは約40カ国・地域からだったが、今では「南米や東欧、アフリカにも広がり、約60カ国・地域になった」(堀内東センター長)という。富士急行河口湖駅(同)でも、観光総合案内所を訪れる外国人が、25年には前年比55%増の約6万人となった。

 ただ、世界遺産になっても、もともと著名な観光地ほど一時的な伸びにとどまるケースが多い。えひめ地域政策研究センターによると、姫路城(兵庫県姫路市)は世界文化遺産に登録された5年の観光客が前年比15%増となったが、翌年は元の水準に戻った。富士河口湖町も「富士山もそうなりかねない」と危機感を募らせる。

 そこで地元が期待するのは、今秋にも着工されるリニア新幹線だ。現在、山梨県上野原市-笛吹市間の42・8キロの実験線を本線とした上で、名古屋側を駅建設予定地の甲府市まで、東京側を神奈川県相模原市までそれぞれ延伸し、32年の東京五輪開催時に試乗できるよう、JR東海に働きかけている。

 ■地元の期待高く

 JR東海は「32年までの延伸の実現は、現実的には極めて困難」とするが、それでも河口湖とリニアの駅を結ぶ延長40キロの県道整備を求めるなど、地元の期待は高い。「富士山だけでは東京から日帰り圏。リニア試乗で1泊以上してもらい、県内の温泉やワイナリーに寄ってもらえれば経済効果は一気に広がる」(山梨県観光部)という。

 政府は32年に訪日外国人を2000万人に倍増する目標を掲げる。実現には、日本の文化を象徴する富士山と最先端技術を結集したリニア新幹線を、ともに政府主導で売り込む態勢作りが必要となりそうだ。(藤沢志穂子)

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