【主張】コロナ下の健診 受診回復に全力を挙げよ

 命取りになるのは新型コロナウイルスに感染することだけではない。

 定期受診を差し控えて糖尿病や高血圧の管理が疎(おろそ)かになったり、がん検診や定期健診を先延ばししたりしている人もいるのではないか。

 家から出ず、引きこもるように暮らすと、感染とは別の多くの健康上のリスクが生じる。そのことに、もっと注意を払っていきたい。

 新型コロナウイルスを警戒して引きこもった結果、別の重大な疾患の発見が遅れたり、運動不足が原因で転倒して骨折をしたりするのでは元も子もない。

 政府が「Go To ウオーキング」や「Go To 健診」を呼びかけてもよいくらいだ。

 日本総合健診医学会などの調査では、今年1月から9月の健診受診者は約1400万人で、前年同期比で3割以上も減少した。

 健診には、企業が社員の健康管理のために行う事業者健診や、がんの早期発見を目指す人間ドックなど、さまざまなものがある。

 がん検診に携わる医師からは、「コロナ下でのがん発見の遅れが懸念される」との声も上がる。胃がんや大腸がんなどは初期の発見なら8、9割が治る。だが、進行すると予後が悪くなるからだ。

 しかも、調査では、回答した健診機関の3分の1が、中止や延期した健診をすべて年度末までに実施することは難しいと回答している。このままでは1割程度の未受診者が発生する可能性もある。

 実際、予約が取りづらい健診機関も出ている。緊急事態宣言下で中止になった健診が再開され、コロナウイルス感染防止のために受診希望者の数を制限したり、機器を念入りに消毒したりしていることも影響している。

 関係者には、希望者がスムーズに健診を受けられるよう、さらに努力してもらいたい。

 例えば、受診を希望する人に対し、受け入れに余裕のある健診機関を紹介するため、健診機関同士が横の連携をとるなどの情報発信があってもいい。

 コロナ感染の拡大防止は引き続き重要である。一方で、日常の暮らしには「百パーセントの安全」はない。コロナ感染のリスクを避けながら活動の優先順位をつけ、徐々に普通の暮らしを取り戻していくことが肝要である。

 それが経済と感染防止を足元から両立させることにつながる。

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