【主張】待遇格差判決 同一賃金の流れを着実に

 パートらの非正規社員が提訴した正社員との待遇格差をめぐる5つの訴訟で、最高裁の判断が相次いで示された。

 賞与や退職金などが支払われなかったことの是非については「不合理とまではいえない」とする一方で、各種の手当や休暇が与えられなかったのは「不合理な格差にあたる」と認定した。

 一連の判決は、正社員と非正規社員という就業形態の違いで、一律に待遇に格差をつけることは認められないとの立場を示したものといえる。企業は今後、非正規社員に対しても職務を明確化し、待遇などの労働条件の透明性を確保することが求められる。

 非正規社員は働く人全体の4割近くに達する。今年4月からは政府の働き方改革の一環で「同一労働同一賃金」のルールも施行された。非正規社員の処遇を着実に改善する取り組みが欠かせない。

 賞与や退職金を支払わなかった企業側の判断について、不合理とはしなかった13日の判決は、正社員と非正規社員では職務の内容や責任、配置転換の有無などが異なると指摘し、処遇にも一定の差異を設けることを認めた。

 これに対し、日本郵便の契約社員らが繁忙期手当や扶養手当などの手当や休暇を与えられなかったとして訴えた裁判については、15日の判決で不合理な格差だと判断した。13日の判決でも「内容次第では不合理とされることがあり得る」との考えを同時に示しており、あくまで個別事情に応じて判断すべきだとしている。

 最高裁は2年前にも非正規社員の待遇格差判決で、格差の妥当性の判断は「賃金総額の比較だけでなく、給与や手当を個別に検討する」との枠組みを示した。今回の一連の判決も、この考えに沿ったものといえよう。

 職務や責任などの違いで待遇の条件を決めるためには、明確な基準が求められる。

 「同一労働同一賃金」を定めたルールでも、待遇の違いについては雇用主が説明することを義務づけており、そのための基準づくりは企業側の責務である。

 日本の非正規社員の賃金は正社員の6割程度にとどまる。8割程度の欧州と比べると、その差は大きい。とくにコロナ禍の今は、非正規社員がこれまで以上に雇用調整の対象になりやすく、待遇改善は喫緊の課題である。

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