【主張】欧州議会の決議 国際司法裁へ中国提訴を

 欧州議会が19日、「香港国家安全維持法」導入を図る中国政府に関する決議を行った。欧州連合(EU)と加盟国に対して、中国政府を国際司法裁判所に提訴する検討や対中制裁を求めた。

 一国二制度による香港返還を定めた中英共同宣言や市民的・政治的権利に関する国際規約に違反していると判断したためだ。

 国家安全法制定を準備している中国全人代の報道官は「中国の内政に干渉するもので、激しく非難し、断固反対する」と述べた。

 欧州議会の決議は間違っていない。中国が国際約束を反故(ほご)にし、香港市民の人権を踏みにじろうとしていることは許されない。

 決議は、国家安全法は香港の自治権への攻撃だと指摘し、国際司法裁への提訴を促した。香港の人権状況を監視する国連特使の派遣を提案し、ウイグルやチベットなどの人権抑圧も問題視した。

 人権侵害に関与した関係者に対する資産凍結や渡航制限、商業活動禁止などを科す米国の「マグニツキー法」を参考にした対中制裁も必要だとした。

 EUと加盟国は欧州議会の決議を踏まえ、国際司法裁提訴などに踏み切ってもらいたい。

 決議は、欧州の中国に対する態度が厳しさを増していることを反映している。

 欧州は最近まで、人権問題よりも中国との経済関係拡大を重視してきた。だが、新型コロナウイルスをめぐって、中国政府による隠蔽(いんぺい)や「マスク外交」を通じた勢力拡大の動きを目の当たりにし、不信感を強めている。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長は22日、習近平中国国家主席とのテレビ方式の首脳会議で、国家安全法導入に重大な懸念を伝えた。ミシェルEU大統領はこの会議後、中国について「同じ価値観、政治体制を共有していないことを認識すべきだ」と述べ、警戒感をあらわにした。

 ポンペオ米国務長官は25日の講演で、近くEUとの間で中国問題に特化した高官級対話を始めることを明らかにした。

 ポンペオ氏は、「中国が引き起こす脅威について(米欧が)共通の理解に至れば、われわれは行動を開始できる」と語った。

 EUと加盟国は米英と連携し、中国に自制を促す具体的行動をとるべきだ。それを人権状況の改善と地域の平和につなげたい。

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