【外信コラム】「嵐」はやがて収まるのだろうか…「FRB文学」危うし

 以前、日本銀行の担当記者だった際、「日銀文学」なる言葉があると知った。日銀が発表する声明文に、景気の見方や、金融政策の先行きを示唆する微妙な表現が含まれている。それを文学になぞらえたものだ。

 今は米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)の記事を書くため、FRBの声明文を読む機会が多い。その声明文に最近必ず出てくるのが「忍耐強く(patient)」という表現だ。景気を忍耐強く見極め、金融政策を判断する、というような文脈で使われているが、この表現にも「FRB文学」ともいうべき奥深さを感じている。

 経済が好調なら、投資家は、FRBが忍耐強く「利上げ」にふさわしい時期を待つ意味だと読み取るだろう。ところが米中貿易摩擦が激化する最近のように、景気の雲行きが怪しくなれば、逆に慎重に「利下げ」のタイミングを探っているとも読めるようになる。

 当面は利上げも、利下げもせず景気を「様子見」する政策を公言するFRBにとり、今後の政策がどちらに転ぶにしても使える表現は良くできた仕掛けだ。

 ところが、トランプ米大統領は景気浮揚のため、FRBに利下げを求める露骨な“口先介入”を強めている。繊細な文学表現を直撃する「嵐」はやがて収まるのだろうか。(塩原永久「ポトマック通信」)

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