【iRONNA発】テレビの公共性 制作現場で直面した政権忖度と放送法の壁 杉江義浩氏

  政府が進める放送制度改革の中で注目されているのが、放送局に政治的公平などを義務付けた放送法第4条の存廃である。ただ、4条は有名無実化しているとの指摘が多い。それだけに安倍政権内で撤廃案が浮上しているが、そもそもテレビに求められる公共性とは何なのか。

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 長年、NHKで番組やニュースを作ってきた私にとって、放送法はバイブルのような存在でした。限りある公共の電波を使って、広くあまねく情報を伝えるテレビの影響力は莫大(ばくだい)で、人々の物の見方や感じ方を左右します。それだけに、一歩使い方を間違えると凶器にもなり得るのだ、と新人のころからたたき込まれてきました。

 『週刊こどもニュース』という番組を、当時上司だった池上彰さんと一緒に作り続けた8年間は、テレビはどうあるべきか、政治的に中立公正とはどういうことか、考え続けた期間でもありました。 特に池上さんと議論のベースになったのは、放送法第4条の4項目のうち、2項の「政治的に公平であること」と4項の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」の2つでした。

 ◆ネットは「一対一」

 番組で池上さんが子供に分かりやすく政治を解説した際、結果的に政権に批判的な内容となり、放送直前になって報道局政治部からストップがかかったこともありました。NHKという組織が、ともすれば時の政権の意向を忖度(そんたく)しかねない、報道機関としてデリケートな構造になっていることを示した事例といえるでしょう。

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