【甘口辛口】悪しき習慣に骨折らされた極寒開会式…翌日に決勝控えた葛西は旗手に適任だったのか?

 ■2月12日 「氷の微笑」というサスペンス映画がかつて大ヒットした。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が見せた笑顔はそんな感じだった。ソウルでの南北首脳級会談で韓国側の文在寅大統領らと握手するときはさすがに笑顔を見せたが、すぐに小鼻をふくらませ上から目線の冷淡な表情に変わった。

 めったにお目にかかれぬ役者も登場し、氷も雪も溶けそうな南北の「政治ショー」に世界の目が集まり、平昌五輪は母屋まで政治に取られた感じだ。庇の下の吹きっさらしの中での競技が、よけい寒そうに見えてしまう。10日夜のスキー・ジャンプ、男子ノーマルヒルは気の毒なほどだった。

 氷点下10度の寒さに加え4~5メートルの強風が吹き荒れ、たびたび競技が中断した。21位に終わったベテランの葛西紀明は「信じられない寒さ。体が冷え気味だった」といった。風の影響が強く、なんでこんな所に作ったのかと首をひねるジャンプ台では「気持ちがひるむくらい風の音がすごかった」とか。

 そういえば葛西は9日の開会式に日本選手団の旗手として行進し笑顔を振りまいた。使い捨てカイロ20個を体中に貼り、それでも寒くて開会式は最後まで見なかったとか。8日にはノーマルヒルの予選にも出た。旗手は「日本の顔」とはいえ葛西は45歳。決勝前夜、体が冷え切る開会式まで「レジェンド」に骨を折らせたのは悪しき慣例といえる。

 過去の出場回数やメダルにこだわり、コンディションへの配慮は二の次と思われても仕方ない。「あしたの決勝、大丈夫?」などと見ている方に気をもませるより2大会連続になっても、開会式はパスできる主将の方がまだ“適任”だったのではないか。(今村忠)

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