【主張】高齢者の運転免許 強制返納の仕組み検討を

 前橋市で9日朝、自転車で登校中の女子高校生2人が、乗用車にはねられ、重体となった。運転していたのは、85歳の高齢男性だった。

 被害者にとってはもちろん、事故は加害者やその家族にとっても悲劇に他ならない。

 高齢者の運転適応能力が低下するのは、自然の摂理だ。免許返納の促進は、被害者のみならず、高齢ドライバーを守るためのものでもある。

 運転に不安があれば自主的に返納すべきである。家族も目を配りたい。明らかに能力を欠きながら運転に固執するケースには、強制力をもって免許を返納させる仕組みが必要ではないか。

 高齢ドライバーによる重大事故が、後を絶たない。交通死亡事故全体に占める75歳以上の運転者の割合は、平成18年の7・4%から28年は13・5%に増加した。

 団塊世代が70歳代にさしかかり、今後、高齢化社会はさらに進行する。対応を急がなくては悲惨な事故を止められない。

 前橋の事故で、自動車運転処罰法違反の疑いで逮捕された男は、半年ほど前から物損事故を繰り返していた。家族は免許を返納するよう再三説得したが、これを聞かず、事故当日も家族の目を盗んで運転していた。

 似たような悩みを抱える家族が全国にどれだけいるだろう。そして、事故を起こしてからでは、後悔は遅い。

 男は昨秋の免許更新時に認知機能検査を受け、認知症ではないとされていた。その診断結果が運転能力への過信につながっていたとすれば皮肉である。

 道交法は昨年、更新時や違反時などに義務づけた検査で認知症と診断されれば免許停止や取り消しにできるよう改正された。

 だが、高齢者の事故原因は認知症だけではない。年齢に伴う判断力や運転技能の低下は、事故に直結する可能性が高い。

 免許を自主返納すれば公共交通機関の運賃割引が受けられるなどの特典制度の拡充もあり、返納件数は増えているが、十分とはいえない。返納に至る決断ができない運転者にこそ、判断力の欠如が疑われる矛盾もある。

 公共交通網の整備や自動運転の技術開発を待つ間にも、事故は起きる。認知症に限らない運転技能検査の義務付けと強制返納の仕組み作りが急務である。

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