【主張】衛星「しきさい」 環境で一層の国際貢献を

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の気候変動観測衛星「しきさい」が、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット37号機で打ち上げられた。

 しきさいは大気中のちりや雲、二酸化炭素を吸収する植物の分布などを「宇宙の目」で継続的に詳しく観測する。地球温暖化のメカニズム解明や予測精度の向上を目指す。

 地球温暖化問題に国際社会が足並みをそろえて取り組むうえで、高精度の観測と将来予測は不可欠である。しきさいの運用と成果を通して、地球環境分野での一層の国際貢献を果たし、国際社会における日本の存在感を高めたい。

 温暖化は二酸化炭素など温室効果ガスの大気中濃度が上昇することによって進行するとされる。しかし、太陽光を遮るちりや雲、二酸化炭素を吸収する植物の分布がどの程度影響するのかは解明されていない。

 このため、将来予測の精度は低く、国連の温暖化予測でも今世紀中の気温上昇(世界平均)は2・6~4・8度と幅がある。過去100年の気温上昇が約0・8度なので、2度強の誤差は大きい。

 地球の将来の状態を正しく予測し適切な対策を実施するには、気候変動に影響を及ぼす物質の長期的観測が不可欠である。しきさいはその重責を担う。

 日本は2009年に温室効果ガスを観測する衛星「いぶき」、12年に水の循環を観測する衛星「しずく」を打ち上げている。

 しきさいとの連携によって気候変動に関する知見が高まることが期待されている。その成果を、国内外にわかりやすく発信することも大事だ。

 米国のトランプ大統領は、気候変動に関する国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した。二酸化炭素の最大排出国である中国は、パリ協定に参加するものの当面は排出量を増やし続ける。

 地球環境と表裏をなす資源・エネルギーの大国が、自国中心の姿勢を押しつけ、国際社会の足並みを乱しているのだ。

 日本は、資源・エネルギーに関しては「持たざる国」であり科学技術先進国でもある。

 世界から信頼され、必要とされる国家であり続けるためには、地球環境分野での国際貢献によって存在感を示すことが極めて重要なのである。

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